目次

  1. 2017年にホールディングカンパニーを設立
  2. グループ内で足りないアセットを共有する
  3. 救済ではなく成長のサポートを
  4. 各社の経営は自立を促す
  5. グループで超伝導極細ワイヤーを共同開発
  6. ニッチトップ型企業の支援を確立 総売上1000億円超へ
  7. 世の中の変化を感じアイデアで挑戦できる会社へ

 「ニッチだけれど高い技術力を持っている国内のものづくり企業に、イノベーション投資を行う。その結果、企業がよりパフォーマンスを発揮する。ひいては、生まれた技術や製品で世界中の人々の幸せに貢献していければ。このような意図から由紀ホールディングスを設立しました」

 ホールディングカンパニーの設立については、いくつかの条件が重なったとも言います。1つ目は、ワイヤハーネスメーカー、超硬合金の加工メーカーなど、機械系中小製造業7社のグループ「VTCマニュファクチャリング・ホールディングス」の創立者でありトップでもあった前会長から、業務サポートや事業継承の打診を受けていたことです。

 もうひとつは、前職時代での経験です。投資利益を目的とするファンドに対抗するかたちで、国内町工場にある高い技術力やノウハウを活用・継承しようと、“雷鳥”という名のファンドを立ち上げます。実際、価値ある中小町工場の再生事業に取り組んだ経験が強く印象に残っていた、と言います。

由紀ホールディングスは10社によるホールディングカンパニー(同社提供)

 2017年にホールディングカンパニーを立ち上げると、すぐにVTCマニュファクチャリング・ホールディングスをグループ化し、その後も数社をM&Aでグループに迎え入れいます。現在は11社(由紀HDも含む)におよび、グループ全体の従業員数は約400人、売上高は75.5億円になります。

 「由紀精密の建て直しでは、多くの中小町工場で整っていないであろう営業や企画広報、デザイン、研究開発、事業戦略といった“機能”を整備していきました。その結果、もともと持っていた強みである技術力が発揮でき、業績の改善やさらなるパフォーマンスの創出を実現しました」

 一方で、10人規模の町工場にそのような機能を詰め込むのは、余分過ぎる場合も多いと大坪さんは言います。由紀精密の再生では、こうした機能を大坪さんや2人のエキスパートが兼務していましたが、あまり一般的ではありません。

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