目次

  1. 町工場業界の盛り上げ役に
  2. 業務急増で社長秘書を雇用
  3. 「事業承継が近い会社」が魅力に
  4. 社長代理として対外業務を担う
  5. 社長と従業員をつなぐ役割
  6. 「置き菓子サービス」を導入
  7. 「後継ぎの分身」の役割も
  8. 「町工場秘書の会」も提案

 栗原精機は金属の精密加工を得意とする町工場です。創業以来、医療機器や産業機器の部品を製造しており、現在は22人の従業員が働いています。2000年代からは職人の趣味がきっかけで無線操縦装置やプラモデルなどホビー分野の部品を製造し始めました。

 19年に立ち上げた自社ブランド事業では、文房具やアウトドア用品など職人技を感じられる逸品が好評を博すようになりました。凹凸や曲面を組み合わせた複雑な形状を1個の金属塊からの削り出しで表現するなど、金属素材の手触りを生かした高級感が人気の理由の一つです。

栗原精機は自社ブランドを伸ばしてきました

 自社ブランド事業を立ち上げたのは、03年から社長を務める稔さんです。町工場業界の底上げを目的とするプロジェクトチーム「町工場プロダクツ」の発起人でもあります。

 「町工場プロダクツ」には複数の町工場が名を連ね、自社ブランド事業の共存共栄を推進してきました。渋谷ロフトのポップアップストアや東京ビッグサイトの大型展示会に共同出展するなどの実績があり、技術力を生かしたユニークなBtoC商品でメディアの注目を集めています。「町工場のイメージをもっと良くしたい。しかし、栗原精機だけが頑張っていても変わらないので、業界全体を巻き込みアクションを起こしてきました」

社内には「町工場プロダクツ」の商品展示スペースを設置。自社だけでなく、仲間の製品も展示しています

 現在、自社ブランド事業が年間売り上げの30%を担うまでに成長を遂げるなか、稔さんの悩みは急増する業務量でした。他社との連携も進めてきた結果、会合への出席、取材対応、イベントの手伝いなど、対外的な業務量が雪だるま式に増えていたといいます。「正直、スケジュールがめちゃくちゃになり、ダブルブッキングが頻発していました」

 オーバーワークを解消するため、稔さんはアクションを起こします。22年5月、業務の一部を肩代わりしてくれる「社長秘書」として、元キャビンアテンダント(CA)の岡田早紀子さん(33)を正社員として雇用したのです。そのきっかけはツイッターでした。

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