社長の右腕とは 育成に必要な「意識的な権限委譲」 中小企業白書が指摘
社長の右腕とは、2023年版中小企業白書によると、「社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できるなど、経営者が厚い信頼を寄せる人材」です。白書は、右腕的存在が事業成長に寄与している可能性があり、育成には「意識的な権限委譲」「経営陣との接点の増加」が必要だとしています。
社長の右腕とは、2023年版中小企業白書によると、「社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できるなど、経営者が厚い信頼を寄せる人材」です。白書は、右腕的存在が事業成長に寄与している可能性があり、育成には「意識的な権限委譲」「経営陣との接点の増加」が必要だとしています。
中小企業庁が公表した「2023年版中小企業白書」で、経営者の戦略実行を支える人材として「右腕人材」に注目しています。
右腕人材とは、社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できる等、経営者が厚い信頼を寄せる人材だと定義しています。
中小企業白書の調査では、直近10年間における右腕人材がいたと回答したのは、全回答数2815件のうち、65.6%に上ります。このうち73.7%が内部で育成した人材で、残る26.3%は外部から確保した人材だといいます。
調査によれば、右腕人材がいることで、経営者は戦略的な判断や決断をスムーズに行うことができ、事業力アップにつながることが示唆されています。
具体的には、既存事業拡大と新規事業創出に取り組んだ際の、右腕人材の関与度合いを見た場合、既存事業拡大と新規事業創出の取組のいずれにおいても、「大いに関与した」、「ある程度関与した」が多くなっており、右腕人材が成長に向けた取組に関与している様子がうかがえるといいます。
また、右腕人材の有無別に、売上高増加率の水準(中央値)を見たところ、右腕人材が「いた」と回答した企業(35.0%)は、「いなかった」と回答した企業(32.0%)に比べて、売上高増加率の水準が高かったといいます。
中小企業白書の調査で、右腕的存在には次のような特徴があることが見えてきました。
ただし、右腕といっても、内部育成か外部採用かで持っているスキルは大きく異なります。
中小企業白書の調査では、内部で育成した右腕人材は「営業」に関する知識・スキルを持っている傾向があり、外部から確保した右腕人材は「経営企画」「経理・財務」「総務」といった、管理系の知識・スキルを持っている傾向があったといいます。
ただし、右腕人材の経歴別に、右腕人材の選定時に重要視した要素を見た場合、内部採用か外部採用か経歴にかかわらず「業務経験の豊富さ」を挙げている割合が最も高く、次いで「経営者、社員のそれぞれと円滑にやりとりするコミュニケーション能力」が高くなっていました。
成長企業の経営者は、豊富な経験を基にしたサポートや経営者と社員の距離を埋める役割を右腕人材に期待していることが推察されると白書は指摘しています。
成長への好影響が期待できる右腕人材について、中小企業白書は育成の工夫についても調査しています。
1270件の回答結果によれば、右腕人材を社内で育成していく上では、意識的に権限委譲をしたり、経営陣との接点を増やしたりしながら、候補となる人材が経営者目線を持つよう促していくことが重要である可能性が示唆されています。
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