目次

  1. 福利厚生だけでは限界がある
  2. 費用対効果が見える投資を
  3. 配慮はしても遠慮はしない
  4. 離職されるのは経営者の責任
  5. 人的資本経営は特別なことではない

 まず、人的資本経営が注目を集めている理由から考えてみましょう。昨今、労働に対する価値観が多様化しています。とにかく稼ぎたい人、ストレスのない職場で働きたい人、プライベートの時間をできるだけ確保したい人など、実にさまざまです。一方で、産業の細分化も進みました。そのため、労働者のエンゲージメントを高める難易度が上がっています。

 エンゲージメントとは、「この会社で働き続けたい」という労働者の思いのことを指します。人材の流動性が高まるなかで、社員を大切にしてエンゲージメントを高め、優秀な人材を獲得しようと考える人的資本経営に注目が集まっているわけです。では、どのようにエンゲージメントを高めたらよいでしょうか。

 福利厚生をはじめ、従業員に何かを与えるやり方には限界があります。例えば、できるだけ稼ぎたいと望む人にとって、給与が減ってしまう週休3日制の導入はうれしくないですよね。そういう社員は、自社よりもっと手厚い待遇を提示されたらすぐに会社を去ってしまいかねません。

 福利厚生を充実させても意味がない、というわけではありません。言いたいのは、順番が違うということなのです。

 人的資本経営で重要なのは、社員一人ひとりの特性を見極めることです。男性、女性、若手、ベテランといったざっくりしたくくりではなく、社員の素養、これまで育ってきた環境をしっかり見ていかなければ、各人の可能性を最大化することはできないでしょう。

 社員のエンゲージメントを高めるために必要なものは二つあります。

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