目次

  1. のべ5千銘柄の酒が店内に
  2. 父の体調不良で家業へ
  3. 元同僚を雇い事業拡大
  4. 落語と日本酒のイベントを企画
  5. モダンなデザインの店舗に改築
  6. 従業員の発案でインスタライブ
  7. 勉強会の講師を頼まれるように
  8. 発信と行動で得られる信用

 小田急線本厚木駅から徒歩10分。和のテイストをモダンな形で表現した望月商店の個性的なたたずまいは、町の酒屋には見えません。藍染めののれんをくぐると、店内には様々な酒が勢ぞろい。年間のべ5千銘柄の酒を扱っています。特に先代の父・喜代志さん(現会長)が全国の蔵元を回ってそろえた、数々の地酒が自慢です。オンライン販売はせず、対面販売にこだわり、全国からお客さんが訪れます。

 現在の従業員数は正社員7人、アルバイト8人の計15人ですが、望月さんが家業に入った2002年当時は、両親と妻の4人で切り盛りする家族経営でした。

2018年にリニューアルした望月商店の新店舗(望月商店提供)

 望月さんは職住一体の環境で育ちました。子どものころは友達を連れて帰ると、先代の父がおやつやジュースを振る舞ってくれたといいます。「だから家業のことは子どものころから好きでした」

 小学生から大学まで、野球漬けだった望月さん。ポジションはずっと捕手でした。グラウンドを俯瞰的に見ていた経験が、経営にも役立っているといいます。大学卒業後は、一度スーツを着るような仕事をしたいと、紙を扱う商社に就職しました。

望月さんの父・喜代志さん(左)の決断で、地酒の専門店に生まれ変わりました

 商社で任されたのは新規営業です。電話帳で企業を調べながら、営業の経験を積みました。大学などの新規顧客も開拓するなど自信が付き始めた入社2年目、母親から電話で「ちょっとお父さんが…」と切り出されます。喜代志さんが体調を崩して入院したのです。

 5~10年は働いて会社に恩返ししてから家業に戻ろうと考えていた望月さんの心は揺れました。入社してからずっと面倒を見てくれた上司に、家業の話を相談すると「戻って頑張れ」と背中を押され、決断しました。

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