雇用調整助成金、2024年4月に改定 厚労省が教育訓練の支援に重点
雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整により、従業員の雇用を維持した場合に助成する制度です。2024年4月から、在職者によるリスキリングに重点を置くため、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう厚生労働省が見直しました。そこで、助成金の支給対象となり得る教育訓練、支給対象外の教育訓練について整理しました。
雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整により、従業員の雇用を維持した場合に助成する制度です。2024年4月から、在職者によるリスキリングに重点を置くため、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう厚生労働省が見直しました。そこで、助成金の支給対象となり得る教育訓練、支給対象外の教育訓練について整理しました。
目次
厚生労働省の公式サイトによると、雇用調整助成金は、雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。
厚労省は、コロナ禍で雇用調整助成金のコロナ特例を設け、労使間の協定にもとづいて「雇用調整(休業)」を実施する事業主に、助成率と上限が引き上げて休業手当などの一部を助成したことで利用が一気に拡大しました。
コロナ特例はすでに終了し、雇用調整助成金は在職者によるリスキリングを強化するため、2024年4月の改定で、教育訓練への投資を促進する方向にシフトすることになりました。
これまでと、2024年4月からの雇用調整助成金の助成率は以下の通りです。
企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算 |
---|---|---|
中小企業 | 2/3 | 1200円 |
大企業 | 1/2 |
累計の支給日数(判定基礎期間の休業等の延日数を対象労働者数で割った数)が30日に達した判定基礎期間までは、これまでと同様の助成です。累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間からは次のとおりです。
表中の教育訓練実施率は、休業等の延べ日数のうち、教育訓練を実施した日数の割合です。
教育訓練実施率 | 企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算 |
---|---|---|---|
1/10未満 | 中小規模 | 1/2 | 1200円 |
大規模 | 1/4 | ||
1/10以上1/5未満 | 中小規模 | 2/3 | |
大規模 | 1/2 | ||
1/5以上 | 中小規模 | 2/3 | 1800円 |
大規模 | 1/2 |
厚労省は、2024年4月の制度改正で、雇用調整助成金の支給対象となる教育訓練の要件を再整理しました。
職業に関する知識、技能または技術の習得又は向上を目的とするものが対象となります。事業所内と事業所外で実施するものを分けました。
教育訓練を事業主以外のものが実施する場合は、支給申請時に様式第13号「雇用調整助成金支給申請合意書」の提出が必要になります。
事業所内で経験等を有する者が講師役となり、休業の対象となっており生産活動を停止している工場のラインを活用して、安全に作業が行えているかの確認、生産性を向上するための講習(業務プロセスの改善等)などを実施するものが対象となりえます。ただし、通常の事業活動と区別して行われており、教育訓練の成果物を販売等することにより利益を得るものでないものに限ります。
このほか、事業所内に外部講師を招き、講習等を実施するものも対象となりえます。たとえば、業務改善のためのノウハウ(業務の棚卸しや改善方策の検討の仕方)、マネジメント研修、ビジネススキル研修(プレゼンテーション、問題解決手法)などが挙げられます。
官公庁や地域で産業や中小企業を支援する機関が実施する講習などが対象となりえます。(講演が実施されない関係者の意見交換会やイベント等を除く)
また、業務で必要となる免許・資格等の取得や更新のための講習・訓練など、教育訓練機関等が行う訓練・セミナー等も対象となりえます。
以下は支給対象外となりますので注意してください。
厚労省は、2024年4月からより適正な審査のため、支給申請時に提出が必要な書類を見直すと発表しました。2024年4月1日以降の日を初日とする判定基礎期間から適用されます。
ただし、2024年3月31日以前の日を初日とする判定基礎期間となる申請時や、令和6年能登半島地震の特例を利用する事業主は適用されません。
休業等に係る支給申請時に提出が必要な書類として、以下を追加します。
対象期間以外でも、労働局の求めに応じて提出できるよう、上記書類を整備し保管しておく必要があります。
休業等に係る支給申請時に提出が必要な書類として、以下を追加します。
給与振込を確認できる書類(写)(現金払いの場合は会社名・金額・労働者の住所及び電話番号・受領日が明示され、労働者が直筆で氏名を記載した領収証)
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