企業向け防災備蓄品リスト 南海トラフ地震に備えるなら水・食料は1週間分
大きな災害が起きたとき、企業は従業員の安全に配慮する義務があります。従業員の安全確保、事業継続のために、会社がどのような防災備蓄品を準備しておくのがよいかを紹介します。水や簡易トイレなど備蓄の目安は3日分ですが、南海トラフ地震や首都圏直下地震など大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとされています。
大きな災害が起きたとき、企業は従業員の安全に配慮する義務があります。従業員の安全確保、事業継続のために、会社がどのような防災備蓄品を準備しておくのがよいかを紹介します。水や簡易トイレなど備蓄の目安は3日分ですが、南海トラフ地震や首都圏直下地震など大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとされています。
目次
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として過去に大きな被害をもたらしてきた大規模地震です。
政府の地震調査研究推進本部の長期評価によると、マグニチュード8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は2022年1月時点で70~80%とされています。
また、地震調査研究推進本部地震調査委員会では、首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は、70%程度(2020年1月24日時点)とされています。
いずれもいつ起きてもおかしくないと考えて、防災対策を進める必要があります。
労働契約法は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めており、災害時にも従業員の安全配慮義務を負っています。
2011年の東日本大震災で多くの帰宅困難者が出た教訓から、政府は「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン」などを作りました。
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首都直下地震帰宅困難者等対策協議会は、一斉帰宅抑制の基本方針を示し、たとえば、首都直下地震により、交通機関が運行停止し、復旧の見通しが立たない場合には、被災状況を確認した上で、安全を確保するため、従業員等を一定期間事業所内に待機させ、必要な水、食料、毛布などの物資の備蓄に努めるよう求めています。
それでは、まず企業が防災備蓄を行う際に、以下の3つのポイントを押さえましょう。
地震発生直後は、インフラが寸断され、食料や水などの物資の調達、救援物資の到着が困難になります。公共交通機関が少なくとも3日間停止することを想定して、企業が必要な備蓄量の目安は3日分としています。
ただし、南海トラフ地震など大規模災害に備えるのであれば、1週間分の備蓄が望ましいとされています。また、外部の帰宅困難者を受け入れる場合に備えて、10%程度の量を余分に備蓄しておくことも検討しましょう。
備蓄品の種類は、従業員数、事業特性、会社の規模などを考えてきめましょう。たとえば、従業員が多い企業では、一人あたりの備蓄量を増やす必要があります。
また、製造業など現場作業や装置がある場合、安全に点検ができるよう予備の工具やヘルメットを通常の保管場所以外に置いておくのもよいかもしれません。
備蓄品は、適切な場所に保管し、定期的に点検を行い、期限切れや破損がないか確認する必要があります。また、使用期限が近いものや、不足しているものは、定期的に補充・入れ替えましょう。
政府は「一斉帰宅抑制における従業員等のための備蓄の考え方」(PDF)のなかで、必要となる備蓄品を次のように示しています。
備蓄量の目安として、水は1人あたり1日3L、主食については、1人あたり1日3食、毛布については、1人1枚。その他の品目は、物資ごとに必要量を算定してください。
炭水化物ばかりだと体調を崩しやすくなるので、魚や野菜の缶詰や野菜ジュースやドライフルーツなども用意しておくと栄養バランスをとりやすくなります。ただし、水や食料は賞味期限をチェックしておき、定期的に入れ替えられるようにしておきましょう。
また、企業の場合は、事業継続のことも考えて、以下の備蓄も検討しましょう。
このほか、企業だけが備えるのではなく、従業員にも非常用食品、ペットボトル入り飲料水、運動靴、常備薬、携帯電話用電源など事前の備えをしておくよう呼び掛けましょう。
備蓄品をそろえるだけでは、いざというときに対応できません。そこで、防災マニュアルも同時に準備しておきましょう。政府の「中小企業の防災・事業継続の手引き」によれば、マニュアルは、重要な業務を担う各部署が主体的に作り、震度○の地震の発生時など、発動基準から復旧時の活動に至るまで、具体的な方法・手順を定めます。
災害・事故の発生時には、分厚いマニュアルを読んでいる暇はないので、やるべき事項を簡潔に記したチェックリストも作成しておくことが必要だといいます。
さらに、社員の連絡先や取引先の連絡先のリストの更新、実施すべき事項、実施時期、実施担当者、確認者など平時にしておくことを明記し、社内のルールとして周知徹底を図ることを勧めています。
愛知県大府市の公式サイトでは、事業所の防災マニュアル作成例 (Word 185.6KB)がダウンロードできるので参考にしてください。
緊急時対応・復旧計画やそのマニュアルの手順が間違いなく有効に機能するかも訓練を通じて確認しておきましょう。
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