目次

  1. アメリカ大統領選 11月5日に投開票
  2. 東京商工リサーチの調査概要 支持率はハリス氏上回る
  3. 注目政策は「台湾有事」 地政学リスクの関心高まる

 アメリカ大統領選は4年に一度。2024年の米大統領選は11月5日に投開票されます。大統領は、まず有権者が投票し、その結果で選ばれた選挙人が投票する方式で選ばれます。各州と首都ワシントンに割り当てられた「選挙人」の過半数を取った候補が最終的に勝利となります。

 11月5日に向けて、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が接戦を続けています。アメリカ大統領が示す政策は国際情勢にも大きな影響を及ぼすため、日本でも注目されています。

 こうしたなか、東京商工リサーチは2024年10月1日~8日、日本企業に対し、インターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5198社を集計・分析しました。

 東京商工リサーチの公式サイトによると、「今年11月のアメリカ大統領選挙でどちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?」と尋ねたところ、ハリス氏の支持率は43.5%となり、トランプ氏の15.0%を上回りました。

 ただし、会社規模別にみると、中小企業の方がトランプ氏を支持する割合が高い傾向にありました。

 産業別でも、10産業すべてでハリス氏がトランプ氏を上回りました。特に支持が高かった産業は金融・保険業の50.0%、卸売業49.5%、製造業48.5%となっていました。

 一方、トランプ候補の支持が最も高かった産業は、農・林・漁・鉱業の26.1%で、不動産業の19.7%、運輸業の18.3%と続きました。

 「次期アメリカ大統領の政策で注目することは何ですか?自社の業績への影響の観点で回答下さい(複数回答)」と尋ねたところ、回答率がもっとも高かったのは「台湾有事を含めた中国との関係性」で、全10産業でトップの65.4%に上りました。

回答項目 回答者数
台湾有事を含めた中国との関係性 3403社
ウクライナ情勢を含めたロシアとの関係性 2733社
通貨·為替政策の在り方 2562社
経済安全保障政策の在り方 2402社
中東諸国との関係性 1974社
保護主義政策・貿易協定の在り方 1592社
関税政策の在り方 1205社
アメリカで産出されるエネルギー源の供給方針 843社
環境保護政策の在り方 747社
移民政策の在り方 437社
その他 43社

 次いで、「ウクライナ情勢を含めたロシアとの関係性」が52.5%。前回の調査でトップだった「通貨・為替政策の在り方」は49.2%となりました。「中東諸国との関係性」は38.0%でした。

 通貨・為替から地政学リスクに関心が移っている背景には、8月下旬の中国軍機による領空侵犯問題や9月の中国・深センの日本人男児殺害事件などがあるのではないかと東京商工リサーチは分析しています。

 「今年11月のアメリカ大統領選挙でどちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?」の質問で、ハリス氏を選んだ企業の35.8%は「保護主義政策・貿易協定の在り方」を選び、トランプ氏を選んだ企業より11.8ポイント高い結果となりました。

 トランプ氏を選んだ企業では、「移民政策の在り方」が18.4%で、ハリス氏を選んだ企業より11.5ポイント高かったといいます。

 民主党と共和党では、関税政策や環境・エネルギー政策、移民政策などでスタンスが大きく異なり、選挙結果によっては、日本企業も経営戦略の見直しなど対応を迫られる可能性があります。