日本企業の支持はハリス氏43%・トランプ氏15% 米大統領選アンケート
杉本崇
(最終更新:)
2024年11月5日に投開票があるアメリカ大統領選挙について、東京商工リサーチが実施した日本企業5198社へのアンケート調査結果によると、カマラ・ハリス候補の支持が43.5%で、ドナルド・トランプ候補の15.0%を上回りました。次期アメリカ大統領の政策で注目する点は「台湾有事を含めた中国との関係性」が最高の65.4%で、前回トップだった「通貨・為替政策の在り方」は3位にとどまり、関心は通貨・為替から地政学リスクにシフトしていると東京商工リサーチは分析しています。
アメリカ大統領選 11月5日に投開票
アメリカ大統領選は4年に一度。2024年の米大統領選は11月5日に投開票されます。大統領は、まず有権者が投票し、その結果で選ばれた選挙人が投票する方式で選ばれます。各州と首都ワシントンに割り当てられた「選挙人」の過半数を取った候補が最終的に勝利となります。
11月5日に向けて、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が接戦を続けています。アメリカ大統領が示す政策は国際情勢にも大きな影響を及ぼすため、日本でも注目されています。
東京商工リサーチの調査概要 支持率はハリス氏上回る
こうしたなか、東京商工リサーチは2024年10月1日~8日、日本企業に対し、インターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5198社を集計・分析しました。
東京商工リサーチの公式サイトによると、「今年11月のアメリカ大統領選挙でどちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?」と尋ねたところ、ハリス氏の支持率は43.5%となり、トランプ氏の15.0%を上回りました。
ただし、会社規模別にみると、中小企業の方がトランプ氏を支持する割合が高い傾向にありました。
産業別でも、10産業すべてでハリス氏がトランプ氏を上回りました。特に支持が高かった産業は金融・保険業の50.0%、卸売業49.5%、製造業48.5%となっていました。
一方、トランプ候補の支持が最も高かった産業は、農・林・漁・鉱業の26.1%で、不動産業の19.7%、運輸業の18.3%と続きました。
注目政策は「台湾有事」 地政学リスクの関心高まる
「次期アメリカ大統領の政策で注目することは何ですか?自社の業績への影響の観点で回答下さい(複数回答)」と尋ねたところ、回答率がもっとも高かったのは「台湾有事を含めた中国との関係性」で、全10産業でトップの65.4%に上りました。
回答項目 |
回答者数 |
台湾有事を含めた中国との関係性 |
3403社 |
ウクライナ情勢を含めたロシアとの関係性 |
2733社 |
通貨·為替政策の在り方 |
2562社 |
経済安全保障政策の在り方 |
2402社 |
中東諸国との関係性 |
1974社 |
保護主義政策・貿易協定の在り方 |
1592社 |
関税政策の在り方 |
1205社 |
アメリカで産出されるエネルギー源の供給方針 |
843社 |
環境保護政策の在り方 |
747社 |
移民政策の在り方 |
437社 |
その他 |
43社 |
次いで、「ウクライナ情勢を含めたロシアとの関係性」が52.5%。前回の調査でトップだった「通貨・為替政策の在り方」は49.2%となりました。「中東諸国との関係性」は38.0%でした。
通貨・為替から地政学リスクに関心が移っている背景には、8月下旬の中国軍機による領空侵犯問題や9月の中国・深センの日本人男児殺害事件などがあるのではないかと東京商工リサーチは分析しています。
「今年11月のアメリカ大統領選挙でどちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?」の質問で、ハリス氏を選んだ企業の35.8%は「保護主義政策・貿易協定の在り方」を選び、トランプ氏を選んだ企業より11.8ポイント高い結果となりました。
トランプ氏を選んだ企業では、「移民政策の在り方」が18.4%で、ハリス氏を選んだ企業より11.5ポイント高かったといいます。
民主党と共和党では、関税政策や環境・エネルギー政策、移民政策などでスタンスが大きく異なり、選挙結果によっては、日本企業も経営戦略の見直しなど対応を迫られる可能性があります。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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