目次

  1. 「使えない息子はいらん」
  2. 政府系金融機関から転身
  3. 危機感を覚えて営業所を開設
  4. 見積書の作成・送付を代行
  5. 請求書の分析で適正価格に
  6. 会社説明会を年50回以上開催
  7. 「未来プロジェクト」で生まれた新商品
  8. コロナ禍を機に多能工化を加速
  9. 残業や離職を抑えて若返り
  10. 雰囲気の良さが成長に

 山脇製菓は山脇さんの祖父が1957年に創業し、かりんとう専門店として成長してきました。自社オリジナル商品の種類は20弱。かりんとうは保存料・酸化防止剤を使用せず、その味は定番の黒糖やピーナッツのほか、レーズン、瀬戸内レモンなどに広がっています。商品はスーパーをはじめ小売店で買い求めることができます。

山脇製菓が製造・販売する主なかりんとう(山脇製菓提供)
山脇製菓が製造・販売する主なかりんとう(山脇製菓提供)

 かりんとうは水源豊かな琵琶湖のほとりの滋賀工場(滋賀県東近江市)で作られています。そのこだわりは生地作りです。商品ごとに小麦粉の配合を変更。製粉メーカー任せではなく、自分たちで配合しています。

直営店「かりんとう専門店やまわき」。贈答用も扱っています(山脇製菓提供)
直営店「かりんとう専門店やまわき」。贈答用も扱っています(山脇製菓提供)

 約20年前、本社1階に直営店もオープンしました。現在の従業員数は70人、年商は16億円になります。

 長男の山脇さんは高校生ぐらいまで、祖父母のところに遊びに行ったとき、トラックの荷降ろしを手伝うことがあったといいます。ただ、父で先代社長の正隆さんからは「好きなことをやっていい」と言われ、家業を継ぐつもりはありませんでした。

 「父はよく『使えない息子はいらん』と言っていました。息子に無理やり継がせて経営が揺らごうものなら従業員が不幸になるだけです。なので、会社を継がなくてもいいと言っていたと推察しています」

創業当時の山脇製菓(山脇製菓提供)
創業当時の山脇製菓(山脇製菓提供)

 山脇さんは大学卒業後、政府系金融機関に就職し、大阪の支店で中小企業への融資を担当しました。銀行マンを全うするつもりでしたが、2009年11月に転機が訪れます。

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