目次

  1. 訪問特定整備制度とは 主なルール
  2. 訪問特定整備の種類
    1. 訪問特定整備(フルパッケージ)
    2. 限定訪問特定整備
  3. 訪問特定整備制度を利用するための注意点

 自動車の安全上重要な「特定整備」は、設備や要員を有する認証工場で実施することが義務付けられていました。しかし、自動車ユーザーの利便性向上や多様なニーズへの対応といった観点から、安全を担保する一定のルールのもとで認証工場の整備士がユーザーの自宅や会社を訪問して特定整備を行う「訪問特定整備」が解禁されることになりました。

 ただし、認証を受けた自動車整備工場(認証工場)しか訪問特定整備をできないので注意してください。主なルールは以下の通りです。

  • 依頼者への説明、訪問する整備士への指示等は、派遣元の認証工場の整備主任者が行う
  • 料金の内訳(整備費・旅費等)を示すこと
  • 訪問する整備士のリストをメールで運輸支局へ届出
  • 訪問可能な範囲は、同一の都道府県内または自動車によりおおむね1時間以内

 ユーザーから委託された特定整備を他の訪問特定整備事業者に行わせることはできません。また、訪問特定整備の責任は、整備士ではなく、認証工場が負います。

 訪問特定整備には、「訪問特定整備」と「限定訪問特定整備」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

 認証工場の設備要件を満たす場所で実施する必要があります。例えば、運送会社の整備作業場などが該当します。

 作業範囲はすべての特定整備が対象となります。

 訪問特定整備(フルパッケージ)では、特定整備を伴う法定点検整備を行うことは可能です。もっとも、訪問特定整備(フルパッケージ)として、車検や車検に伴う整備(普通自動車の24か月点検に伴う整備など)を行うことはできません。

 訪問特定整備(フルパッケージ)として、OBD確認をすることもできません。

 訪問特定整備(フルパッケージ)を実施する場合、その開始日の前日までに、最寄りの運輸支局長に対して、訪問特定整備(フルパッケージ)の作業場所や作業を行う「連続した3日間(離島は連続した5日間)」を届け出る必要があります。

 その後、届け出た「連続した3日間(離島は連続した5日間)」を経過した後に、同じ作業場所で、新たな届出を行わずに訪問特定整備(フルパッケージ)を実施した場合、その理由の如何を問わず、遵守事項違反となりますので注意しましょう。

 認証工場の設備要件を満たさないものの、安全・品質を確保できる場所で実施する必要があります。例えば、ユーザーの自宅駐車場などが該当します。

 作業範囲は特定整備の中でも、ブレーキパッドの交換、発電機交換、スターターモーターの交換、大特車のステアリングホースの交換に限ります。

 実施場所は、例えば、自らの事業場のうち洗車場や駐車場などで、限定訪問特定整備を実施することはできません。

 限定訪問特定整備として、特定整備を伴う法定点検整備を行うこともできません。また、限定訪問特定整備として、車検及び車検に伴う整備(普通自動車の24ヵ月点検に伴う整備など)を行うこともできません。

 訪問特定整備制度を適切に利用するためには、事業者とユーザー双方で以下の点に注意する必要があります。国交省の公式サイトに通達やQ&Aが掲載されています。

 国土交通省は、訪問特定整備制度の施行後、その実施状況や課題、ユーザーのニーズなどを踏まえ、必要に応じて制度の見直しを行う可能性があるとしています。