くるみん、2025年4月から認定基準・マークを改正 プラチナくるみんも

くるみんマークとは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。ほかに、プラチナくるみんマークやトライくるみんマークもあります。次世代育成支援対策推進法の改正とあわせて、厚生労働省は2025年4月1日から、「くるみん認定」「トライくるみん」「プラチナくるみん認定」の認定基準とマークを改正しました。3つに共通する改正と種別ごとの改正について整理しました。
くるみんマークとは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。ほかに、プラチナくるみんマークやトライくるみんマークもあります。次世代育成支援対策推進法の改正とあわせて、厚生労働省は2025年4月1日から、「くるみん認定」「トライくるみん」「プラチナくるみん認定」の認定基準とマークを改正しました。3つに共通する改正と種別ごとの改正について整理しました。
目次
厚労省の公式サイトによると、次世代育成支援対策推進法は、子どもたちが健やかに育つ環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民それぞれの責務を明らかにしている法律です。
この法律にもとづき、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定し、都道府県労働局に届け出ることが義務付けられています(100人以下の企業は努力義務)。
くるみん認定は、この行動計画に定めた目標を達成するなど、一定の基準を満たした企業が申請することで、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。認定を受けた企業は、「子育てサポート企業」として「くるみんマーク」を商品や広告などに使用することができ、企業イメージの向上や労働者の理解促進、優秀な人材の採用・定着などが期待できます。
さらに、認定を受けた企業が、より高い水準の取組を行い一定の基準を満たした場合、申請を行うことによって優良な「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の特例認定(プラチナくるみん認定)もあります。この認定を受けた企業の証が、「プラチナくるみんマーク」です。
2022年4月からくるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準の引き上げに伴い、さらに取り組みやすい段階として位置づけられている「トライくるみん認定」もできました。
くるみん認定・プラチナくるみん認定・トライくるみん認定に共通する改正点は以下の通りです。
基準項目 | 旧基準 | 新基準 |
---|---|---|
育児休業等をすることができる女性有期雇用労働者の育児休業等取得率 | なし | 75% |
成果に関する具体的な目標を定めて実施する措置の選択肢 | ①所定外労働の削減 ②年次有給休暇の取得の促進 ③短時間正社員制度、在宅勤務等その他働き方の見直しに関する多様な労働条件の整備 |
①男性労働者の育児休業等の取得期間の 延伸 ②年次有給休暇の取得の促進 ③短時間正社員制度、在宅勤務等その他働き方の見直しに関する多様な労働条件の整備 |
くるみん認定の認定基準とマークが2025年4月1日から改正されました。ポイントは以下の通りです。
基準項目 | 旧基準 | 新基準 |
---|---|---|
男性労働者の育児休業等取得率または男性労働者の育児休業等・育児目的休暇の取得率 | 10%・20% | 30%・50% |
雇用する労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数 | 45時間未満(すべてのフルタイム労働者) | 30時間未満(全てのフルタイム労働者)または45時間未満(25~39歳のフルタイム労働者) |
プラチナくるみん認定は、くるみん認定を受けた企業のうち、さらに高い水準の取り組みを行った企業が一定の要件を満たす場合に受けることができる特例認定です。今回の改正では、プラチナくるみん認定の認定基準も以下の通り変更されます。
基準項目 | 旧基準 | 新基準 |
---|---|---|
男性労働者の育児休業等取得率または男性労働者の育児休業等・育児目的休暇の取得率 | 30%・50% | 50%・70% |
雇用する労働者1人あたりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数 | 45時間未満(すべてのフルタイム労働者) | 30時間未満(すべてのフルタイム労働者)または45時間未満(25~39歳のフルタイム労働者) |
能力の向上またはキャリア形成の支援のための取組に係る計画の策定及び実施の対象 | 女性労働者 | 男性労働者及び女性労働者 |
トライくるみん認定基準は、旧基準では、男性労働者の育児休業等取得率が7%、または、男性労働者の育児休業等・育児目的休暇の取得率が15%でした。
新基準では、男性労働者の育児休業等取得率が10%、または、男性労働者の育児休業等・育児目的休暇の取得率が20%に引き上げられます。
認定基準が改正されるため、以下の3つの経過措置があります。
2025年4月1日の制度改正に伴い、経過措置が設けられています。計画期間の時期にかかわらず、2027年3月31日までは改正前の旧基準でくるみんおよびトライくるみんの認定申請を行うことができます。この場合、付与されるマークは旧基準達成による認定マークとなります。
施⾏後の取組を評価するため、2024年度末までに開始した⾏動計画で、2025年度以降にくるみん・トライくるみん・プラチナくるみん等の認定申請を⾏う場合は、2024年度末までの計画期間を含めずに、2025年度以降の計画期間を計画期間とみなすことができます。
プラチナくるみんは認定取得後、「両立支援のひろば」にて公表した「次世代育成支援対策の実施状況」が同じ項目で2年連続で基準を満たさなかった場合に取消の対象となるが、今回の認定基準の改正に伴い、公表前事業年度が2025年4月1日から2026年3月31日までを含む場合は、新基準を満たしていなくても現行の基準を満たしていれば取消の対象とはなりません。
不妊治療と仕事との両立を支援する企業をくるみん認定にプラスして認定する「プラス認定」もあります。プラス認定を受けるためには、不妊治療と仕事との両立に関する方針の策定と社内周知、研修の実施、相談担当者の選任などの基準を満たす必要があります。
くるみん認定・プラチナくるみんの認定はハードルが高くなりますが、認定を受けると次のようなメリットもあります。とくに公共入札への参加を検討している企業は認定を受けておくとよいでしょう。
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