カスハラ対策法、2026年にも施行へ 事業主等の責務を明確化

カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付ける改正労働施策総合推進法(カスハラ対策法)が2025年6月4日、参議院本会議で可決・成立しました。カスハラ対策法は、公布日から起算して1年6ヵ月以内の政令で定める日に施行されるため、早ければ2026年も施行される見通しです。
カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付ける改正労働施策総合推進法(カスハラ対策法)が2025年6月4日、参議院本会議で可決・成立しました。カスハラ対策法は、公布日から起算して1年6ヵ月以内の政令で定める日に施行されるため、早ければ2026年も施行される見通しです。
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厚労省の公式サイトによると、カスタマーハラスメントとは、簡単に言うと、顧客・取引先・施設利用者などからの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為のことを指します。
2018年6月の労働施策総合推進法等の改正で、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
この改正をもとに、厚労省は2020年1月に、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」をつくり、カスハラについても事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取り組みをすることが望ましい旨を定めました。
今回は、さらに一歩踏み込んで、カスハラから従業員の守る対策をすべての企業に義務付ける改正労働施策総合推進法(カスハラ対策法)が成立しました。
具体的な施行期日を定める政令や関係する省令・指針については今後定められる予定ですが、公布日から起算して1年6ヵ月以内の政令で定める日に施行されるため、早ければ2026年も施行される見通しです。
カスハラ対策法の最大のポイントは、職場におけるハラスメントへの対応強化です。これまで明確な法的定義や義務付けが曖昧であったカスハラにも、法的な枠組みが設けられました。
カスタマーハラスメントを以下の3つの要素をすべて満たすものと定義しました。
事業主に対して義務付ける、事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置の詳細は今後指針で定める方針です。
ただし、法律の要綱によると、以下についても、事業主が対応する必要があります。
男女雇用機会均等法もあわせて改正され、求職者等に対するセクシュアルハラスメントも防止の対象として加えました。
事業主には、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するための雇用管理上必要な措置が義務付けられ、国が指針を示し、国、事業主及び労働者の責務が明確化されます。
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)もあわせて改正されました。ポイントは以下の通りです。
男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主にも義務付けられます。
現行法の有効期限が2026年3月31日までであったのに対し、今回の改正により、これを2036年3月31日まで、10年間延長することになりました。
女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、「女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨」が基本原則において明確化されました。
政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策が位置付けられることになります。
女性活躍の推進に関する取り組みが特に優良な事業主に対する特例認定制度「プラチナえるぼし」の認定要件に、「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していること」が追加されます。
特定事業主行動計画に関する手続きの効率化も図ります。
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