燃料油価格の予防的な激変緩和、6月26日から 中東情勢めぐる急騰に備え

中東情勢が緊迫化し、原油価格が急騰するリスクがあるなか、政府は2025年6月26日(木)から、燃料油価格に対する「予防的な激変緩和措置」を開始します。これまでの1リットルあたり10円の補助に加え、原油価格が急騰した場合でもレギュラーガソリンで1リットルあたり175円程度に抑えるよう補助します。
中東情勢が緊迫化し、原油価格が急騰するリスクがあるなか、政府は2025年6月26日(木)から、燃料油価格に対する「予防的な激変緩和措置」を開始します。これまでの1リットルあたり10円の補助に加え、原油価格が急騰した場合でもレギュラーガソリンで1リットルあたり175円程度に抑えるよう補助します。
目次
石破首相は2025年5月22日から、燃料油価格激変緩和対策事業を組み直し、「旧暫定税率(当分の間税率)」が課されているガソリン・軽油について、1リットルあたり10円を段階的に引き下げています。
5月29日の全国平均の小売価格が5円引き下がるようにし、その翌週からは定額支援10円に達するまで、全国平均の小売価格が毎週1円下がるように補助を追加してきました。
この旧暫定税率(当分の間税率)は、2024年12月に自民・公明両党と国民民主党が交わした合意文書で「廃止する」と記されました。令和7年度与党税制改正大綱にも同じように明記されましたが、いずれも廃止時期には明らかになっていませんでした。
こうしたなか、新たに講じられる「予防的な激変緩和措置」は、特に7月から8月にかけては燃料油の需要拡大が見込まれるため、この時期の価格急騰を未然に防ぐ狙いがあります。
2025年4月から5月の支給実績で生じた基金の余剰分を活用し、ガソリンなどの小売価格がウクライナ危機前後の水準から上昇しないことを目指します。
予防的な激変緩和措置は、2025年6月26日(木)の支給分から、8月末ごろまで実施する予定です。具体的な補助内容は以下の通りです。
ガソリンと軽油は、これまでの10円の定額引き下げはします。これに加え、10円を引き下げても、全国平均小売価格が175円を超える見込みとなった場合、その水準を大きく超えないよう、175円を超える部分について10分の10(全額)の補助をします。
灯油と重油は、現行の定額引き下げ措置の補助水準を踏まえ、ガソリンへの支給額の5割相当を補助します。
航空機燃料は、ガソリンへの支給額の4割相当の補助をします。
燃料油価格の予防的な激変緩和措置は、以下のデータを使います。
そのうえで、「翌週予想価格」を算出し、それが175円を超えるか否かで補助額が変動します。
翌週予想価格(a)は以下の計算式で求めます。
(当週の価格調査結果)+(前週の補助支給額)+(原油価格の変動値)-10円
支給補助額は、翌週予想価格(a)が175円を超えるかどうかで変動します。翌週予想価格(a)が175円を超える場合(超過分支給あり)は以下の通りです。
(a) -175円+定額10円 = 補助額
算出された補助額に対し、灯油・重油は0.5倍(0.1円未満は切り捨て)となります。
翌週予想価格(a)が175円以下の場合は、超過分支給がなく、ガソリン・軽油は定額10円を支給。灯油・重油は定額5円を支給となります。
具体的な計算例を見てみましょう。
翌週予想価格が175円を超える場合(2025年6月26日~7月2日支給分を想定)、前提として、この週の価格調査結果 173.0円、前週補助額 10.0円、原油価格の変動値 +5.0円とします。
すると、翌週予想価格(a)は173.0円+10.0円+5.0円-10.0円=178.0円となります。翌週予想価格が175円を超過するため、支給補助額は(a)178.0円-175.0円+10.0円=13.0円です。灯油・重油の補助額は 13.0円 × 0.5 = 6.5円 となります。
この措置が導入される背景には、中東情勢の緊迫化があります。2025年6月13日(日本時間)未明に発生したイスラエルによるイランへの先制攻撃の報道が、市場に大きな影響を与えました。
この攻撃でイラン軍の要人の死亡が報じられ、イラン最高指導者ハメネイ師がイスラエルへの「激しい懲罰」を表明。これに続き、イランからイスラエルに向けて100機のドローンが発射されたとイスラエル国防軍が発表しました。
原油価格は急上昇し、2025年6月18日の清算値では、ブレント原油が前日の76.45ドルから76.70ドル/バレルに、WTI原油が74.84ドルから75.14ドル/バレルに上昇しました。
さらに、現地時間の21日にはアメリカがイランの核施設を空爆すると、イランは23日夜、カタールのアメリカ軍の空軍基地をミサイル攻撃で攻撃しました。
24日にはイスラエルとイランの間で停戦に合意したと発表がありましたが、その後も戦闘が継続しており、事態がこのまま収束するかは見通せていません。
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