目次

  1. 旧暫定税率(当分の間税率)とは
  2. 石破首相が公表したガソリン価格の引き下げ
  3. 重油・灯油は5円 航空燃料は4円引き下げ
  4. ガソリン補助金の現状

 ガソリンの暫定税率は、1974年に道路整備の財源不足を解消するため上乗せされた税率です。2009年に道路特定財源が廃止され、一般財源に充てられています。

 しかし、ガソリン税の上乗せ分は「旧暫定税率(当分の間税率)」として残りました。ガソリン1リットルあたり、本則税率28.7円に加え、暫定税率25.1円が上乗せされているのが現状です。

自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(国税)の概要
自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(国税)の概要(財務省の公式サイトから https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d10.htm)

 財務省の公式サイトに掲載されている自動車関係諸税・エネルギー関係諸税のうち、揮発油税、地方揮発油税、自動車重量税の税率は、租税特別措置法による当分の間税率です。

 2024年12月に自民・公明両党と国民民主党が交わした合意文書では、暫定税率について「廃止する」と記されました。令和7年度与党税制改正大綱にも同じように明記されましたが、いずれも廃止時期には明らかになっていませんでした。

 2025年夏の参院選が近づくなか、米国の関税措置を受けた対応を自民党、公明党から提言を受けて、石破首相は4月22日に「当面、『当分の間税率』いわゆる『旧暫定税率』の扱いについて、結論を得て実施するまでの間、足元の物価高にも対応する観点から、現行の燃料油価格激変緩和対策事業を組み直し、定額の価格引下げ措置を実施をいたします」と明らかにしました。

 具体的には、「旧暫定税率」が課されているガソリン・軽油は5月22日から、1リットルあたり10円引き下げます。ガソリン価格が、1リットル185円程度の水準であれば、175円程度になるとして「ロシアがウクライナへの侵略を開始した直後(2022年3月)の水準まで引き下げられる」と説明しました。

 補助後の市場価格の変動が大きくなるおそれがある場合には、流通の混乱が生じないよう、1回あたりの変動幅を最大5円程度に抑えながら、段階的に実行する予定だといいます。終了時期について、記者から問われた石破首相は「終了の時期については、これは今の段階で申し上げることはいたしません。それが申し上げられるような状況にもございませんので」と答えました。

 「旧暫定税率」が課されていない重油・灯油についても、5円を引き下げる予定です。さらに、航空機燃料も、これまでもガソリンの4割程度の補助を実施してきたことから、4円引き下げる予定です。

 ガソリン補助金とは、原油価格高騰が生活や経済活動に出る影響を最小化するための激変緩和措置として、全国平均ガソリン価格が一定価格以上になった場合、燃料油元売りに補助金を支給する補助金のことです。事業名は「燃料油価格激変緩和対策事業」。

 経済産業省はレギュラーガソリンの販売価格が全国平均で1リットルあたり175円程度となるよう調整してきましたが、円高傾向や世界経済の減速を受けて、ガソリンの平均価格が補助金を出す基準額である1リットル185円を下回る見通しとなり、2025年4月17~23日の支給額を初めて「ゼロ円」とすると発表しました。