ごはんに合う和風のハム

 宮城県北部の大崎市岩出山の周辺は、田畑が広がり、夏は緑が生い茂り冬は一面銀世界へと様変わりします。その町で1992年に創業したのが、ジャンボン・メゾン。「手作りのハム屋」として、今では年商6千万円を誇ります。

 工房をのぞくと、従業員が手際よく肉を切り分け、パック詰めをしていました。時折冗談を飛ばしながら楽しそうに作業をする従業員は、全員女性。そして、代表取締役の髙﨑さんも女性です。

工房内で行われているハム製造作業

 ジャンボン・メゾンのハムやソーセージの最大の特徴は、ご飯に合う「和」の味わいです。肉を漬け込むための濃度の高い食塩水・ソミュール液に和風だしを使う独自の製法で、しっかり味を含ませています。

 現在、先代の父・今野泰一さんが作った卸販売の「岩出山家庭ハム」の他、高級路線の「和ハム」、アラカルト商品を扱う「アトリエ・ドゥ・ジャンボン・メゾン」の3ブランドを展開。地元の道の駅で扱うスペアリブなども生産・販売しています。2020年春からは自社のECサイトでの販売も始めました。

ジャンボン・メゾンのブランド「岩出山家庭ハム」(同社提供)

震災を機にわいた家業への思い

 髙﨑さんは3姉妹の次女として生まれました。父は水稲農家でしたが、美術大学への進学を控えていた髙﨑さんの学費を稼ぐために、ハム加工業を始めました。母が泣きながら猛反対する姿に、姉妹は両親の離婚を覚悟しました。

 しかし、髙﨑さんは、家族への申し訳ない気持ちはありながらも「この件は姉に任せ、次女の自分はやりたいことだけをやればいい」と思い、家業から目を背けていました。大学卒業後、美術教師を経てフリーのイラストレーターになり、自分のやりたいことを実現してきました。

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