創業40年の工場を承継

 五十嵐さんは、東京でフードクリエイティブファクトリーという会社の代表取締役を務めています。食に関するSNSマーケティングやレシピ開発などで大手企業とも取引実績があり、著作やメディア出演も多数あります。

 そんな五十嵐さんが事業を引き継いだのは、堺市にある創業40年の食品工場「廣瀬食品」でした。従業員は経営者だけという小さな工場を、なぜ引き受けようと思ったのでしょうか。まずは五十嵐さんのユニークな経歴から紹介します。

失敗を重ねてビジネスを学ぶ

 「元々は自分自身で道を決めることなく、近くにいる人についていくような人生でした」と五十嵐さんは話します。しかし、大学2年の時に参加した講習で、転機が訪れました。世界で一番多い死因が食べ物が不足して亡くなる「食料貧困」だと知り、「食を通して地球に還元する」という大志を抱いて、社会起業家にあこがれたのです。

 五十嵐さんはまず自活しようと、料理研究家としてメディアで料理を教え始めます。コネも社会人経験もない五十嵐さんにとって、営業方法、電話のかけ方、アポの取り方など分からないことばかりでした。体当たりでぶつかり、失敗を繰り返して、ビジネスを学んだといいます。かき氷店を時季外れの11月にオープンし、2カ月で閉めたこともありました。

 それでも、若い男性の料理研究家が少なかったことから注目を集め、仕事の依頼が舞い込むようになり、活動を広げました。

くつろぎを与えるスイーツを

 五十嵐さんは09年、フードクリエイティブファクトリーを設立します。大手食品メーカーや官公庁などをクライアントに、レシピ制作やSNSマーケティング、メディア出演など多方面に活躍。食のプロモーション会社へと成長させました。

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