目次

  1. 公開された給与テーブルは10分類
  2. 給与水準の決め方
  3. 入社1年で基本給400万円台も
  4. 公開を決めた理由

 「柳井工業」(本社・大分市)は千葉県や三重県四日市市、宮崎県延岡市など全国各地にあるプラントの定修で、タービンやポンプなどの整備、解体、メンテナンスなどを担う中小会社です。

 そんな柳井工業が2020年、給与テーブルを公開しました。クリックまたはタップすると拡大した画像を見ることができます。

柳井工業が公表している給与テーブル

 給与水準は基本給ベースで4つに大別されます。

  1. 現場クラスのA……年350万~450万円
  2. 現場クラスのC……年500万~600万円
  3. 管理職クラスのE……年500万円+粗利の30~50%
  4. 経営層クラスのS……年800万円+支店の粗利の30%

 さらに、身につけている技能やどの規模の仕事を任せられるかで細分化され、合計10段階となります。たとえば、入社歴が浅くても、図面を見て理解ができ、アドバイスなしでも小型ポンプやファンなどのオーバーホールができれば、A1~3のうち、最上位の「A3」となります。

柳井工業の柳井寿栄常務

 給与テーブル公開後、柳井さんは大手企業の従業員からも給与水準について質問されるようになりました。「大手企業でも高卒の場合は技術力があっても途中から給与が上がりにくくなります。その点、業績に連動し伸びしろがあるのは魅力に映るようです」

 給与水準の決め方は、オンラインの情報共有ツール「Notion」上で公開している業務マニュアルを活用した業務に関する知識のテストとその後の面談です。

Notionを使った評価チェックリスト

 以前は現場に入るときに事前説明なしに作業を始めていましたが、今は図面や施工写真、機械の構造などを示して作業のマニュアル化を図っています。

 事前に説明するにしても一定の業務知識は欠かせないため、給与アップは業務知識を前提としています。

 柳井さんは「本来であれば、一緒の現場で働けば一目瞭然ですが、全国に現場があるため、オンラインで面談しています。受け答えからも現場で生かせるレベルにまで知識が達しているかはおおよそわかります」と話します。

 こうした給与テーブルは、新たに入社した新人のモチベーションを上げています。A3クラスの知識を身につけ、基本給が約400万円と、同じ業界よりも高水準の入社1年目の男性は面談でも「管理職クラスのEに上がるためにはどんなキャリアを積めば良いか」について尋ねてきているといいます。

 そんな柳井工業も2019年までは年齢に応じた大分県内企業の平均水準に少しプラスアルファしただけという給与で、個人のスキルは考慮されていませんでした。さらに多重請負という業界の構造的な問題もあり、業界として低賃金で人手不足という状況に陥っていました。

 違う業界からも優秀な人材を引っ張ってきたい。給与が上がれば、人も増え、業界も活気づくのではないかと考え、業界内でも極めて珍しい給与テーブルの公開に踏み切りました。

 給与が上がるまでのステップを見える化し、同時に教育システムを整備することで、これまで属人的、一人前になるまで10年かかっていた職人の育成方法が変わりつつあります。柳井さんは「従業員を入社から最短半年で一人前にするための育成プログラムとなっています。これにより、未経験者の採用強化を図ろうと考えています」と話しました。