お互いの目線を合わせる

 第三者による事業承継の完了後に起こりがちな問題の一つとして、どちらか一方が改善を提案しても、もう片方がこれまでのやり方を変えることに抵抗し、摩擦が生じることがあります。

 五十嵐さんは2020年、大阪府堺市の創業40年の食品工場「廣瀬食品」を事業承継し、前経営者の廣瀬誠さんと共同で、新しいスイーツの開発に乗り出しました。

 ミシュラン三ツ星の料理店に認められた実績もある廣瀬さんと、フードビジネスやSNSプロモーションを手掛ける五十嵐さん。年齢もバックグラウンドも異なる2人が、スイーツを作り出す過程では、製造工程や方法の違いについて、意見が衝突することもあったといいます。

 五十嵐さんはスムーズに共同開発を行えるよう、大先輩である廣瀬さんへのリスペクトを伝えた上で、以下の三つを心がけました。

  • 遠慮しない
  • 引け目を感じない
  • 「最終責任は自分が持つ」と伝える

 例えば、製造などで新しいやり方を採用する場合は、自分たちの方針や意図、顧客の利益も含めた目的について、きちんと伝えることを意識し、目線合わせに心を砕きました。

 「視点の差は、立場によって大きく変わります。私は大阪の工場を事業承継したと同時に、東京の会社にも守らなければいけないスタッフがいます。お互いが全体的な視点をもって物事を進められるように、事業承継当時から東京のメンバーを紹介したり、何か問題が起こったときには東京のスタッフにも影響が出ることを伝えたりして、(廣瀬さんとの)目線合わせを心がけました」

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。