目次

  1. ブランディングに大切なこと
  2. ブランドとは
  3. 中小企業ブランド無料相談会の概要
    1. 中小企業のブランドに関する悩みとは
    2. 中小企業のブランド勉強方法は?
  4. 中小企業のブランディングがうまくいく5つの条件
    1. 経営陣に情熱がある
    2. まず行動。お金ではない
    3. ビジネス・歴史がある
    4. ニッチな業界はブランディングの穴場
    5. 先進技術などは説明のうまい人が勝つ
  5. ブランド相談会から生まれた事例「おたよりー」
  6. 無料相談会の参加者を引き続き募集

 筆者がこれまで携わってきたプロジェクトは、海外のマクドナルド、海外政府関連や、国内100年企業、創業前のサービスまで様々です。

 対象企業/サービス、国、法律、コスト、人、言語、文化が変わる中で、ブランディングとして打ち手がなかったことは一度もありません。経営やマーケティングでも全てがはっきりわからなくても、答えを探し続け、挑戦することは、ブランドも同じで特別ではありません。

 ブランディングは、大手も失敗することもありますし、中小が大成功することもあります。では、なぜ大手のブランド力が目立つのか?お金があるから?

 はい。一因です。

 でも、世界のブランディングではお金の量よりも取組の量と質が重要です。
ブランディングには、わからない、苦しいことも多いと思いますので、この記事が学習、行動、改善のヒントになればと思います。

 世界基準の『ブランド』の定義は、無形資産であり、名前、ロゴ、商標、スローガン、デザイン、それらの組み合わせによる経済的利益を生み出すものです。

 会社名で信頼してもらえる、人材が集まる、多くお金を出してもらえる。これらがブランドであり、ブランド価値です。

 筆者は2021年3~4月にかけて、1社1回のみ40分、zoomによる完全オンラインで中小企業向けのブランド無料相談会を開きました。その結果、40社が参加しました。参加した業種はIT系が多かったものの、製造、医療などのブランディングが一般的に難しい領域や、競合が多い領域であるファッション、飲食業からの参加申し込みもありました。

 満足度は総じて高く、国内、特に中小企業は、まだブランドの専門的、基礎情報や学習を新鮮と感じてくれた企業も多くいました。

 下記のアンケートは相談をした40社のうち、回答のあった25社のデータとなります。

ブランドにどのような悩みがありますか?と尋ねたところ、相談者の皆さんの悩みは下図のようなものでした。

ブランド相談会参加者の質問「どんな悩みがありますか?」の回答

 多くの中小企業が努力をしていることは感じましたが、ブランド自体や進め方の基礎的な部分がわからない。または、ブランドがどうこうより、認知度を上げたいという実利の部分で悩んでいるという結果です。一方で対照的に、具体的にサービス名をつけたい!新商品のデザイン開発を見て欲しいなどを相談してくれた会社もありました。

 当相談会だけでなく、ブランディングとは、率先して進められている会社とそうでない会社の成功率に明暗がくっきりと出ます。

 外資や大手にブランドの相談をできる企業は国内でも超大企業のみ、稀です。中小企業はどのように情報を集めているのでしょうか?※複数回答ありです。

ブランド相談会の参加者への質問「ブランドの勉強方法を教えてください」に対する回答

 まずは多くの会社が、ネットやブログで情報収集をしており、次に書籍、セミナーが人気です。そこまではやってみても実際に行動に移せない会社多いようにも見えます。

ネット/ブログについては、「ブランディング」と検索したら上位に表示される、筆者のnote、その他は、ジェトロ主催のセミナーや広告でブランド情報があれば見にいくなどでした。

 書籍は次の通りです。

  • コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
  • デビットアーカーのブランド論
  • ブランディング・ファースト―広告費をかける前に「ブランド」をつくる」

 その他、森岡毅氏や佐藤可士和氏の本、などの回答がありました。

 筆者のおすすめは、ブログ・本も良いのですが、行動もセットにしてください。それはtwitterの運用でも、facebookの投稿など無料のものでも良いのです。

 何か投稿できることあるかな? どんな内容だと自分は嬉しくて、読者は喜ぶのかその差も見えるはずです。その積み重ねがブランド作りの勉強になります。本・ブログと行動はセットを忘れずに!

 筆者がこの無料相談会だけではなく、全国の省庁、大学、財団法人などのブランドメンター経験を通して数百社のブランド支援をしてきました。その中でブランドの成功する会社と苦戦する会社の差がより具体的に見えてきました。下記のように、ブランディングがうまくいく5つの条件にまとめました。

 トップから情熱を持ってまずは始めましょう。いくらお金があっても、いくら部下が有能でも任せきりでは成功しません。ニッチ、物作り、先端領域など難しいと思い込んでいる領域はむしろチャンスなのです。

 現場の人に熱意があるケースは多いです。しかし、立場の違いもあり、投資・継続できる経営陣は多くありません。投資をするのであれば、トップがある程度動くのが、合理的です。

 ブランドはやってみなくてはわからないことが多い専門領域と考えてください。前向きに学ぶだけでは意味がありません。いくらお金を持っていても丸投げもブランドではやるべきではありません。逆に行動ができれば、観察、改善の難易度はそれほど高くは感じないでしょう。

 ブランディングの上手な会社は若い会社、ビジネスがこれからの会社は多いです。なぜならブランドがないとなにもないからです。大企業はビジネス・歴史があることも多いのですが、大規模であるが故に、会社、事業に情熱を持っていないことが多く潜在的力を活かせません。
 そうなると中小で真面目にビジネスをしているところはかなり可能性が高まるわけです。

 toB企業や医療企業は大抵の場合、情報発信が難しい、意味がないと感じています。しかしブランドとは競合との差が重要です。つまり、ニッチな業界はブランディングにとっては穴場です。筆者の経験では、ブランディングの大成功が多い領域です。

 4.と類似しています。競合との差が大事です。説明が上手い人が勝ちます。技術であるにも関わらず、どこかに人間が介在する限り、精度だけでは勝ちきれないのです。

 相談会から生まれたサービス名の事例を紹介します。学校からのおたよりを整理するアプリ名「おたよりー」です。

おたより整理アプリ「おたよりー」をつくった豊福鮎美さん

 学校からの情報発信を一元化し、家族のおたよりをアプリで管理するという全国のママたちの負担を下げる新サービスについて、「MamaLeaf」代表取締役/CEOの豊福鮎美さんから「サービスの命名、スローガンを決めたい」との相談が寄せられました。

カメラで撮影したおたよりから「日付、予定、持ち物」を自動的にカレンダーに反映する「おたよりー」のしくみ

 そこで、筆者は次のような提案をしました。

サービス名:『おたよりー』
スローガン:『トるだけ、ミるだけ、コレだけ』

 現在、世界中のサービスはなるべく簡単で短い名前が成功する傾向にあります。学校からのおたより整理アプリは、ターゲットが明確であるため、その層にとって最もわかりやすく、名前だけでも内容が想起できるものを目指しました。また、スローガンは、いつも忙しいターゲット層にいかに手軽であるかを重点に訴求しました。

 その結果、公開直後から、予想を超えたダウンロード数、アクティブ数で処理が追いつかないレベルまで到達しました。その後サービスは無事再開しています。

 豊福さんからは次のようなコメントが寄せられました。

神命名ありがとうございました!サービス名「おたよりー」すごく評判いいです。ダウンロード数が1日半で800超えました!

 ブランド相談会を受ける前は、「ブランディングってなに?今の私たちにはまだ早い、それどころじゃない。。」と正直思っていました。

 でも受けてみて、「一番思いが強い社長が自分の言葉を使って発信をすべき」という言葉でガーーーンと頭叩かれました。本当にそうだな、と。

 それまでマーケティング担当に任せてましたが、なかなか意識をうまく合わせられませんでした。でも自分でやって初めて届けたい人に届くのだと、感じました。

 自分たちでは気づけない、自社の強みや大切な何かにたくさん気づかせてくださるところ、改善点、具体策を惜しみなくフィードバックしていただけるところなど、 石坂ブランド相談会のファンになる人の共通認識だと思います!

 実施させていただいた無料ブランド相談会が大変好評であったため、10枠ほどを追加します。

 時間は、金曜と日曜の午前のみで、各社一度、40分(オンラインzoom)までとなりますがブランドに興味を持っていただけたら、お申し込みもご検討ください。専用の申し込みフォームから30秒程度で完了します。

40分ブランド相談会