目次

  1. M&Aサイトを見てひらめく
  2. 後継ぎ不在で譲渡先を模索
  3. 旅館を託すことを決めた理由
  4. 写真×旅館で新たな収益
  5. 中小企業のスピード感を武器に

――小野写真館はコロナ禍で事業の見直しを迫られ(前編参照)、2020年10月、M&Aで咲楽を取得しました。どのようにして見つけたのでしょうか。

 小野哲人さん(以下敬称略):20年6月ごろにM&Aをしようと決めたものの、最初から旅館に対象をしぼるつもりはありませんでした。まずはM&Aの仲介サイトを見ながら、小野写真館と組み合わせて新しい事業に昇華できるところがないか、広く探していました。

 すると「4部屋しかない静岡県の高級旅館」といった趣旨のキャッチコピーが目に止まったのです。コロナ禍で世の中が変わる中、自然豊かな伊豆半島の小規模旅館は非常にプラスになると、見た瞬間に思いました。

 4部屋だけなら、旅館を親族だけで貸し切って小規模な結婚式ができます。還暦祝いや七五三など、3世代で宿泊する需要も作り出せます。ウィズコロナの時代にあわせた、祝いのアップデートができるとひらめきました。

 仲介サイトには毎日何百という情報が流れてきますが、この旅館は運命的な感じがして、直接見たいとすぐコンタクトをとり、7月初めに足を運びました。

海沿いの高台に建つ旅館「桐のかほり 咲楽」(写真中央)

――実際に訪れてみての印象はいかがでしたか。

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