目次

  1. コラボレーションツールとは
    1. コラボレーションツールの機能
    2. コラボレーションツールで解決できる課題
  2. コラボレーションツールを選ぶ3つのポイント
    1. 必要な機能が揃っているか
    2. 取引先の多くが利用しているサービスがあれば、それに合わせる
    3. 導入済みのクラウドサービスと連携可能か
  3. これ1つでOK おすすめコラボレーションツール3選
    1. Google Workspace
    2. Microsoft 365
    3. LINE WORKS
  4. コラボレーションツール活用時の注意と対策
    1. チャットが浸透しない
    2. クラウドストレージ上にファイルを保存しない
    3. クラウドストレージのアクセス権限が適切でない
    4. タスク管理ができない
  5. これからの時代に必須なコラボレーションツール

 コラボレーションツールとは、チームメンバーや他部門の方、社外の方との共同作業(コラボレーション)をサポートするツールです。

 オフィスへ集まって一緒に仕事をする場合、対面で会話したり、紙の資料を一緒に見ながら書き込んだり、ホワイトボードを使って情報を整理したりしている方が多いのではないでしょうか。

 これらを、オンライン上で行うために便利な機能を集めたサービスが、コラボレーションツールです。

 代表的な6つの機能について、以下の表にまとめました。

 「コラボレーションツール」という言葉には、厳密な定義はなく、この6つがすべて揃っていなければならないというわけではありません。

 共同作業をサポートする目的のサービスであれば、コラボレーションツールと呼ばれます。

 たとえば、Web会議システムのZoomや、クラウドストレージのDropboxは、以下の表の中の一部の機能に特化したサービスですが、これらもコラボレーションツールと呼べます。

コミュニケーション関連

機能名 内容
チャット メールのように、件名や挨拶文を書く必要がないため、テンポの良いコミュニケーションが可能。可能な限りチャットの利用がおすすめ。
メール チャットの利用ができない企業とのコミュニケーションでは、メールを利用。
Web会議 カメラの映像や、資料の共有を行いながら、オンラインでミーティングが可能。

情報共有関連

機能名 内容
スケジュール共有 「カレンダー」や「予定表」とも呼ばれます。共有すると、誰がいつどこで何の予定があるのかがお互いに分かるため、予定の調整が容易になります。
タスク管理 抱えているタスクやその進捗を共有することにより、特定のメンバーへ負荷が偏っていないか確認することができたり、進捗を都度ヒアリングしなくても分かるようになります。
クラウドストレージ 「オンラインストレージ」とも呼ばれます。ここへ保存したファイルは、オフィスの外からでもアクセス可能。

 コラボレーションツールを導入すると、「生産性向上」と「デジタル化」が実現できます。どちらも抽象的な言葉なので、具体的にどのような課題が解決できるのか、代表的なものを4つ紹介します。

移動無しで効率的なコミュニケーションが可能

 みなさんは、ご友人とどのような方法でコミュニケーションを取っていますか?

 私の周りは、LINEなどのチャットばかりです。メールで連絡を取る人は聞かなくなりました。同じような方も多いのではないでしょうか。

 チャットは、短文で用件だけ伝えることができますし、スタンプだけで回答することもできます。テンポの良いコミュニケーションができて、便利ですよね。

 グループチャットを使えば、複数人で議論することや、情報共有も簡単にできます。

 この便利さを、ビジネスへ持ち込んだのが、ビジネスチャットです。メールと比べて、スピーディーなコミュニケーションが可能です。

 そして、テキストではなく、音声のコミュニケーションであるWeb会議。

 電話とは違い、資料の投影ができますので、離れた場所にいても、同じ画面を見ながらミーティングすることができます。

 日本全国、もしくは海外の方とミーティングする場合は、Web会議を利用することによって、移動にかかる時間や費用の削減につながります。

 最近では、感染症から従業員を守るため、Web会議に対応できない企業との取引を控える企業も出てきているそうです。

 ビジネスチャンスを逃しかねないので、今からでも対応することをおすすめします。

 「対面でのミーティングじゃないと、どうも頭に入ってこない」と言われたことがあります。

 そのような方へおすすめしているのが、大型モニターの利用です。特に、ノートパソコンの画面でWeb会議していると、画面が小さく、見づらいですよね。

 個人的には、一般的なノートパソコンの4倍強の広さがある、32インチ以上のモニターが、没入感が出るので好きです。

個人が抱えるタスクの可視化と共有

 ひとりひとりがタスク管理ツールを利用して、今どのようなタスクを抱えていて、進捗がどうなっているのかを能動的に共有すると、お互いに状況をリアルタイムに知ることができます。

 日報を提出したり、管理者の方が現場のメンバーへ進捗を都度確認する方法もありますが、これではリアルタイム性に欠けますし、進捗確認の手間がかかります。

 個人のタスクリストを、メンバー全員が見られるようにしておくだけでも、ある程度の効果がありますので、タスク管理の最初の一歩におすすめです。

 次のステップとして、タスクリストの粒度や更新頻度について、細かなルールを決めていくのが良いでしょう。

クラウドストレージ上でのファイル同時編集による生産性向上

 他社の方と1つのExcelファイルやWordファイルを更新していく場合、どのように行っていますか?

 たとえば、取引先のA社と、1つのExcelファイルをお互いに更新する場合、以下の流れで行う方が多いのではないでしょうか。

  1. (自社)パソコン上で、Excelファイルを更新する
  2. (自社)そのファイルをメールへ添付して、他社へ送信する
  3. (A社)メールを受信したら、添付ファイルをダウンロードする
  4. (A社)パソコン上で、ファイルを更新する
  5. (A社)そのファイルをメールへ添付して、自社へ送信する
  6. 1へ戻って繰り返す

 これは、手間と時間がかかり、決して生産性の高い方法とは言えません。

 また、バージョン違いのファイルが複数存在するため、どれが最新のものか分かりにくくなり、過去のファイルを誤って更新してしまう可能性もあります。

 クラウドストレージの多くは、ファイルの同時編集に対応しています。先ほどの例で表すと、以下の流れで済みます。

  1. (自社)クラウドサービス上で、Excelファイルを更新する(自動的にA社へ更新通知が飛ぶ)
  2. (A社)クラウドサービス上で、ファイルを更新する(自動的に自社へ更新通知が飛ぶ)
  3. 1へ戻って繰り返す 

 一度体験すると、今までどれだけ無駄な時間をかけていたのかに気付けると思います。

いつでもどこでも、どのデバイスでも業務可能

 「移動中の電車の中で、資料を確認したい」
 「商談中に、チームメンバーへ依頼したい」

 こうした、短い時間での資料確認やコミュニケーションのために、わざわざパソコンを開くのは面倒です。

 コラボレーションツールの多くはスマートフォンやタブレットに対応していますので、ちょっとしたときに手軽に利用することができます。

 スキマ時間を効果的に使えるようになるので、ビジネスの速度が上がります。

 多数あるコラボレーションツールの中から、どのサービスを選べば良いのでしょうか。ポイントを3つ紹介します。

 コラボレーションツールの代表的な機能として、「コラボレーションツールの機能」章で6つ紹介しました。この中から、何が足りていて、何が足りていないのかを、照らし合わせてみてください。

 たとえば、「メールは今使えている。Web会議はZoomを導入済み。残りの、チャット、スケジュール共有、タスク管理、クラウドストレージが足りてないな」といった感じです。

 この、足りてない機能が網羅されているサービスを選んでください。

 他社との共同作業を行う場合、利用するサービスが異なると、どちらかのサービスに合わせる必要があります。

 たとえば、自社ではGoogleドライブへファイルを保存しているが、取引先はDropboxへファイルを保存している場合に、やり取りするファイルはどちらかのクラウドストレージを利用する必要があります。

 取引先ごとにファイルの置き場が異なると、どこへファイルを置いたか分からなくなる可能性があります。

 もし、取引先の多くが利用しているサービスがあれば、それと同じサービスを導入するのがおすすめです。

 取引先で、まだコラボレーションツールの導入があまり進んでいないようであれば、自社の都合でツールを選定して、ぜひ取引先へ勧めてください。

 共に、生産性が向上しますし、IT活用が進んでいる企業として見てもらえるかもしれません。

 クラウドサービス同士を連携させると、さらに効率良く仕事をすることができます。

 クラウドサービスの一例として電子契約サービスを挙げます。これを、コラボレーションツールの機能である、クラウドストレージとチャットの2つと連携させると、次のようなことが可能です。

  • クラウドサービス上に保存した契約書を、パソコンへダウンロードすることなく、電子契約サービス上へアップロード可能。
  • 電子契約サービス上で、先方の署名が完了したら、リアルタイムにチャットへ通知を飛ばすことが可能。

 これはあくまで一例です。クラウドサービス同士は様々な連携が用意されています。

 すでに導入済み、もしくは、今後導入予定のクラウドサービスがあれば、連携可能なコラボレーションツールかどうかを確認しておくのを、おすすめします。

 コラボレーションツールが多すぎて、どれを選べば良いか分からないという方へ向けて、これ1つ導入すれば、「コラボレーションツールの機能」章の6つの機能がすべて網羅できる、おすすめのコラボレーションツールを3つ、厳選して紹介します。

サービス名 Google Workspace Microsoft 365 LINE WORKS
特徴 ・Google スプレッドシートやGoogle ドキュメントなどの、同時編集を前提としたサービスを利用可能
・企業で管理されたGoogleアカウントを発行可能
・Officeライセンス(Word, Excel, PowerPointなど)が付くプランもある
・Windowsのセキュリティ対策や、デバイス管理の機能が付くプランもある
・LINEの法人向けサービス
・基本的な機能は無料で利用可能
費用 月額748円/人〜(Business Starterプラン) 月額594円/人〜(Microsoft 365 Business Basicプラン) 月額0円/人〜(フリープラン)
おすすめの企業 ・Gmailに慣れている従業員の多い企業
・Googleアカウントでログイン可能なクラウドサービスを利用している企業
・Outlookに慣れている従業員の多い企業
・Windowsのセキュリティ対策や、デバイス管理まで行いたい企業
・LINEに慣れている従業員の多い企業
・取引先とLINEでコミュニケーションを取っている企業

 3つとも、複数の機能をひとまとめにしたサービスです。機能ごとに名前が付いていますので、対比表も用意しました。

サービス名 Google Workspace Microsoft 365 LINE WORKS
メール Gmail Outlook メール
チャット Google Chat Microsoft Teams トーク
Web会議 Google Meet Microsoft Teams トーク
スケジュール共有 Googleカレンダー Outlook カレンダー
タスク管理 Google Keep Microsoft Lists タスク
クラウドストレージ Googleドライブ OneDrive Drive

 Google スプレッドシートやGoogle ドキュメントなどの、同時編集を前提としたサービスが利用可能なのが、大きな特徴です。

 イメージとしては、ExcelやWordの画面上に、同時アクセスしているユーザーの数だけカーソルが表示され、お互いに同時編集している状況をリアルタイムに見ることができます。

 あまりの便利さに、この機能のためだけにGoogle Workspaceを契約する企業もあるほどです。

サービス名 Google Workspace
提供会社 Google LLC
特徴 ・Google スプレッドシートやGoogle ドキュメントなどの、同時編集を前提としたサービスを利用可能
・企業で管理されたGoogleアカウントを発行可能
機能 コラボレーションツールの基本機能の他、フォーム作成(Googleフォーム)や、Webサイト作成(Google Site)の機能がある
費用 月額748円/人〜(Business Starterプラン)
おすすめの企業 ・Gmailに慣れている従業員の多い企業
・Googleアカウントでログイン可能なクラウドサービスを利用している企業
公式URL https://workspace.google.co.jp/

 WordやExcelといったOffice製品がお馴染みの方も多いと思いますが、従来のようなデスクトップアプリケーションではなく、Webブラウザから利用可能な、Word OnlineやExcel Onlineを利用することによって、共同作業がスムーズに行えます。

 近年はMicrosoft Teams(Skypeの後継サービス)という、チャットとWeb会議システムを合わせたサービスにより、コラボレーションツールの色が濃くなりました。

サービス名 Microsoft 365
提供会社 Microsoft Corporation
特徴 ・Officeライセンス(Word, Excel, PowerPointなど)が付くプランもある
・Windowsのセキュリティ対策や、デバイス管理の機能が付くプランもある
機能 コラボレーションツールの基本機能の他、フォーム作成(Microsoft Forms)や、Webサイト作成(SharePoint)の機能がある
費用 月額594円/人〜(Microsoft 365 Business Basicプラン)
おすすめの企業 ・Outlookに慣れている従業員の多い企業
・Windowsのセキュリティ対策や、デバイス管理まで行いたい企業
公式URL https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365

 LINEの法人向けサービスで、LINEと同じような画面レイアウトになっているため、馴染みやすいです。

 LINEを使って仕事をしたいが、プライベートのLINEアカウントを仕事で使いたくないという方もいらっしゃると思います。LINE WORKSなら、無料で仕事用のLINEアカウントが作成できて、おすすめです。

サービス名 LINE WORKS
提供会社 ワークスモバイルジャパン株式会社
特徴 ・LINEの法人向けサービス
・基本的な機能は無料で利用可能
機能 コラボレーションツールの基本機能の他、アンケートや、掲示板の機能がある
費用 月額0円/人〜(フリープラン)
おすすめの企業 ・LINEに慣れている従業員の多い企業
・取引先とLINEでコミュニケーションを取っている企業
公式URL https://line.worksmobile.com/jp/

 コラボレーションツールは、それさえ導入すれば共同作業が捗るようになる魔法のツールではありません。あくまで共同作業をサポートするサービスです。

 私がこれまで見聞きした失敗とその対策について、主なものを4つ紹介します。

 社内のチャットの利用率が上がらず、なぜ利用しないのか質問したことがあります。すると、「返信が来ないから」と言われました。チャットを利用しない従業員がいたらしく、独り言になってしまったそうです。

 チャットは、全員が利用して、初めてそのメリットを享受できます。この「全員」は、社長含め全員です。

 チャットを使わない人を認めてしまうと、「全員と連絡が取れるメールのほうが便利」と認識され、チャットが廃れていきます。

 社外とのコミュニケーションもチャットが理想ですが、少なくとも社員間のコミュニケーションは、チャットが当たり前という文化を根付かせていきましょう。

 そのためには、社員から問い合わせや依頼を受ける部門(人事や総務、経理など)が、チャットでしか受け付けないようにする等、業務プロセスに盛り込むことがおすすめです。

 「クラウドストレージ上でのファイル同時編集による生産性向上」章でお伝えした通り、クラウドストレージ上でのファイルの共同編集は、生産性が非常に高いです。

 ただし、せっかくクラウドストレージを利用できるようにしても、利用しなければ意味がありません。

 パソコン上でファイルを作成して、メールで送る人がいる限り、会社全体の生産性向上につながりません。

 私が実際に行った対策として、あえてディスク容量の少ないパソコンを社員へ貸与したことがあります。

 容量が少なくて、多くのファイルがパソコンへ保存できないので、クラウドストレージ上へ保存せざるを得ない状況を作る作戦です。

 このような対策は極端ですが、クラウドストレージ上でファイルを作成して共有することを、何度も言い続けるのは必要でしょう。

 特に社外の方と共同作業する場合に起こりがちなのが、誰がアクセスしたいか分からないから、とりあえず誰でもアクセスできるように設定することです。

 「まさか関係のない人がアクセスしないだろう」と根拠の無い自信を持たずに、必要なメンバーのみ、アクセスできるようにしておきましょう。

 万が一情報が漏洩した場合、会社の信頼が損なわれることになります。

 ひとりひとりの意識を高めるべく、社員への情報セキュリティ教育を定期的に行うことをおすすめします。

 タスク管理ツールには、自動的にタスクが登録されるわけではありません。能動的に登録する必要があります。

 もし、タスクを登録しないメンバーがいる場合、そのメンバーがどのような仕事が行っているのか、どれだけ負担がかかっているのか、他のメンバーからは見えません。

 タスク管理ツールの利用を促進するため、定期的なミーティングの中でタスク管理ツールに触れたり、評価の対象にしたりするのが良いでしょう。

 また、タスク管理ツールが使いこなせないのではなく、タスク管理自体ができない方もよく見ます。

 タスクの粒度はどうすれば良いか、タイトルはどう付ければ良いのか、進捗はどのくらいの粒度で記入すれば良いのか、運用ルールを決めておくことをおすすめします。

 「長年ずっとこの仕事のやり方でやってきた。コラボレーションツールなんて必要ない」と思われる方もいらっしゃると思います。

 どの業界においても、デジタル化の波はやってきています。デジタル化により、どんどん効率良く仕事ができるようになっている企業が増えている中、従来の仕事のやり方に固執している企業は生き残れるのでしょうか。

 たとえば今の時代、パソコンや携帯電話、インターネット無しで仕事ができますか?

 この20〜30年で、仕事をする環境は大きく変わりました。これからの時代、コラボレーションツールは必須と言っても過言ではありません。

 時代に合わせた働き方ができる職場は、採用ブランディングに有効です。

 さらに、最近は副業業界が活発で、離れた場所に住んでいる人材の手を借りることも増えてきています。コラボレーションツールがあるからこそ、外部の力を借りることが可能になっているのです。

 コラボレーションツールは基本的に月額制ですし、無料トライアルもあります。ぜひ一度試してみてください。