目次

  1. トマト作りを支えるシステム
  2. プレゼン資料で妻を説得
  3. 施設栽培に興味を抱く
  4. 事業承継を決めた理由
  5. 元銀行員として浮かんだ知恵
  6. 標準化と平準化を目指して
  7. 農場長に与えた処遇
  8. コロナ禍でリスクヘッジを実践
  9. 自ら率先して休む
  10. 「農業×金融」を広げる
  11. 第三者承継を進めるには

 浅小井農園は約1ヘクタールの土地を構え、栽培面積は8千平方メートルになります。トマトの中でもミディトマト1本に絞り、二つのビニールハウスで2万4千本の苗を育てています。

 看板商品は、地名の「浅小井町」をもじった「朝恋トマト」です。関澤さんは「深くて濃い赤色と、濃くて甘い味が特徴です。スープやパスタに入れると、濃い赤色が食卓に映え、栄養もたっぷり詰まっています」と話します。

 質の高いトマトづくりを支えるのが、環境制御システムです。日射センサーでハウスの屋根の遮光カーテンを自動開閉し、ハウス内の太陽光と温度、二酸化炭素の濃度を調整。植物の光合成に最適の数値になるよう、コンピューターで自動制御しています。

収穫を待つ朝恋トマト(浅小井農園提供)

 海外の農業先進国では当たり前ですが、日本で採り入れている農家はまだ少数です。農園の創業者・松村務さんが、仕組みを整えました。

 農業は家族内の継承が一般的ですが、関澤さんは松村さんと血縁ではありません。1年間の農業研修で入った浅小井農園に、後継ぎがいないことを知り、「広い農園と従業員の生活、朝恋トマトを途絶えさせてはならない」と決意しました。

 関澤さんはかつて、みずほ銀行に11年間勤め、法人融資や審査部などを経験しました。約千人の中小企業経営者らと出会う中で、うらやましく見えたといいます。

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