目次

  1. 地元紙で知った家業の経営悪化
  2. 蔵人が去り酒造りができない… 
  3. 1本の録画が酒蔵の転機に
  4. 「酒造りをしないと会社は変わらない」
  5. 2カ月間で学んだ コメの磨きに宿る世界観
  6. 一升瓶7000本分の酒が完売

 花の香酒造の酒は熊本県で開発された酵母菌「9号酵母」を使い、開けた瞬間に広がる華やかな香りと、まろやかな風味が特徴です。「酒米の王」とも言われる山田錦を50%まで磨き、雑味を取り除いた純米大吟醸「桜花」シリーズが定番です。

花の香酒造

 しかし、これまでの道は平たんではありませんでした。花の香酒造は1902年(明治35年)創業。幼い時から神田さんには「後継ぎ」という自覚がありました。しかし、日本酒の需要が減り、市場が縮小する中で次第に経営が厳しくなってきます。

 神田さんが高校2年生の時、会社は自己破産を申請しました。「友達が持ってきてくれた地元紙に自己破産申請のニュースが載っていて、家業が置かれている状況を初めて知りました」と話します。その後、申請は取り下げたものの、会社の信用は落ち、売り上げは落ち込みました。

 神田さんは高校を中退し、建設会社に就職します。「当時、父からは『家を継がなくていい』と言われたんです。自分を心配して言ってくれたと今は分かりますが、その一言で継ごうという気持ちがなくなりました」。

 その後、神田さんはいろいろな仕事に挑戦します。演劇や映像の世界に入った後、熊本に戻り飲食店を経営し、一度は軌道に乗りますが事業を広げすぎて失敗、会社を清算します。

 神田さんが家を出た後、家業は厳しい状態でした。芋焼酎ブームで売り上げは一時的に増えましたが、ブームが去ると負債は数億円に膨らみます。当時、神田さんの姉が会社を継いでいましたが、精神的に追い込まれ出社が難しくなりました。

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