目次

  1. 「一緒にやってくれないか」夫の申し出を断った
  2. NASA開発の成分を歯みがき剤に使うアイデア
  3. 他社の追随に危機感 テレビCMで大勝負
  4. 「上がるものは必ず下がる」と心配していた
  5. 売上拡大を追わずブランド回復を優先
  6. 土地・建物を売却 2010年に無借金経営
  7. 「後継者は今の社員から」

 「芸能人は歯が命」。俳優の東幹久さんと高岡早紀さんが共演したテレビCMが1995年、全国で流れました。

 そんな名コピーで大ブレークしたのが、薬用ハイドロキシアパタイト配合の歯みがき剤「アパガード」でした。白い歯がもたらす魅力と価値が広く伝わりました。

 「テレビCMが話題になって商品が注目されると、大金が文字通り転がり込んできました。でも、『これが実力だ』と思ってしまい、そこから少しおかしくなっていったのでしょうね」

 サンギのロズリン・ヘイマン社長は、当時のことをこう分析します。オーストラリア出身で、25歳で豪貿易産業省に勤務していた時に日本に留学。その時にアイデアマンで起業家精神にあふれた商社マンだった佐久間周治さん(サンギ会長)と出会い、その後結婚しました。

 「1974年に夫がサンギを創業する時に『一緒にやってくれないか』と誘われました。でも新しい会社がどうなるか、まだ分からない時に同じ仕事をしていて共倒れしてはダメだと思ったのです。申し出を断って、別のキャリアを探しました」と、ロズリンさんは振り返ります。

 1977年に東大大学院を修了(言語学専攻、文学修士)すると、在オーストラリアの日本大使館で調査員や通訳者として働きました。1979年からは日本で共同通信社の英文記者となったほか、豪キャンベラ・タイムズの特派員も務めました。

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