目次

  1. 風営法とは
  2. 風営法改正の背景
  3. 風営法改正の概要
    1. 無許可営業等に対する罰則の強化
    2. 接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為の追加
    3. 性風俗店によるスカウトバックの禁止
    4. 風俗営業からの不適格者の排除

 警察庁の公式サイトによると、風俗営業は、健全に営まれれば国民に憩いと娯楽を与える有用な営業でも、営業方法や業務内容が不適正なものとなれば、風俗上の問題を引き起こす可能性があることため、許可制などにより不適格者をあらかじめ排除する目的で制定されたのが風営法です。

 風営法は、いわゆる性風俗関連特殊営業だけが規制対象ではありません。接待を伴うホストクラブやバーなどの低照度飲食店、広さが5㎡以下の個室などを設けた区画席飲食店、麻雀・パチンコ、ゲームセンター等も規制対象になっていますので、開業時などには十分注意が必要です。

 今回の風営法改正の背景には、ホストクラブで女性客が遊興や飲食をした結果、売掛金等の名目で多額の債務を負担させられ、その支払いのためにホストやホストクラブ経営者から売春や性風俗店での稼働などを要求される事案が発生し、社会問題になっていることが挙げられます。

 現行法の規制では十分な対応が困難であるとして、法改正となりました。

 改正案には、主に以下の4つの重要なポイントが含まれています。

 風俗営業を無許可で行うことなどに対する罰則が大幅に強化されます。個人の場合、現行の2年以下の拘禁刑が5年以下に引き上げられ、罰金も200万円以下から1千万円以下に引き上げられます。さらに、両罰規定に係る法人に対する罰則が、現行の200万円以下から3億円以下へと大幅に強化されます。

 設備を設けて客の接待をして遊興または飲食をさせる営業である「接待飲食営業」を営む風俗営業者に対して、接待飲食営業を営む風俗営業者がしてはならない行為(遵守事項)として規定します。

  • 料金に関する虚偽説明
  • 客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求
  • 客が注文していない飲食等の提供

 さらに、次の行為を接待飲食営業を営む者に係る禁止行為として罰則付きで規定しています。

  • 客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫
  • 威迫や誘惑による料金の支払等のための売春(海外売春を含む)、性風俗店勤務、AV出演等の要求

 性風俗店を営む者が、スカウト等から求職者の紹介を受けた場合に、紹介料を支払う「スカウトバック」が禁止され、罰則が伴います。これは、ホストやスカウトなどが女性客を性風俗店に紹介し、その紹介料を得るという構造を防ぐ目的があります。

 風俗営業の許可に関する欠格事由が追加され、不適格な者が業界から排除されるようになります。具体的には、以下の者が許可を得られなくなります。

  • 親会社等が許可を取り消された法人
  • 警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
  • 暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者