人員配置とは 目的・実施手順7ステップ・おすすめのシステムを紹介
人材不足が続く企業の経営者にとって、今いる従業員に持てる能力を最大限に発揮してもらうことは最も重要な経営課題の一つです。そこで、組織で一人ひとりの能力を活かすためにどの部署でどのような役割を担ってもらうか、という人材配置の最適化で生産性の向上を目指す方法について解説します。
人材不足が続く企業の経営者にとって、今いる従業員に持てる能力を最大限に発揮してもらうことは最も重要な経営課題の一つです。そこで、組織で一人ひとりの能力を活かすためにどの部署でどのような役割を担ってもらうか、という人材配置の最適化で生産性の向上を目指す方法について解説します。
人員配置とは、従業員を適材適所に配置し、経営戦略に基づいた組織の目標達成を目指すタレントマネジメント(人材管理)システムです。
人員配置の最初のタイミングは、通常は入社時です。新卒採用と中途採用の違いはありますが、基本的には採用が決まる段階で入社後の配属部署と役割が決まります。
新卒採用では入社後の研修が終わるまで配属先が決定しない場合もあるものの、中途採用の場合は組織の人材ニーズを元に選考されるため、内定者の経験と知識や技術がニーズに合致していれば、そのまま予定の部署に配属が決まります。
人員配置は、次の4つの目的で実施されます。
人員配置の最大の目的は、組織としての目標達成です。
誰にどの部署で何の業務を担当してもらうかを決めることは、その人員を有効に活用できる部署(その人員がパフォーマンスを最大限に発揮できる部署)を決定することです。
個々の人材が自身の持つ能力を発揮してもらうことが、組織全体の能力の底上げになるため、それを計画的・意図的に行う人員配置は組織の目標達成が最も大きな目的と言えます。
人員配置は、一度配置したら終わりではありません。
従業員5名以下の人数の組織の場合は、一度配置された人員はそのまま担当業務が変わらない可能性もあるでしょう。
しかし、ある程度の規模の組織になれば、経営戦略上の必要性や組織の拡大に応じて、人事異動や新卒・中途採用などが必要になります。こうした対応をスムーズに行い、組織の改革を止めないようにするのも人員配置を行う目的です。
将来の事業計画に合わせて、計画的な人材育成を目的に人員の再配置を行うこともあります。例えば、今すぐではないが、将来の特定のポストを担う人材の育成を目的とした異動や転勤、出向などです。
現代の企業社会においては、組織の目標達成を人材のモチベーションとエンゲージメントの向上なしに実現することは、ほぼ不可能です。
そのため、その人が自身の持つ能力やスキルを最大限に発揮して組織の目標達成に活かしてもらうように、その人の仕事へのモチベーションやエンゲージメントにはどのような要因が影響を及ぼしているか、気を配る必要があります。
通常、人が仕事に対して持つモチベーションとエンゲージメントには大きな個人差がありますが、とはいえ、やはり「どの部署にいて、どんなことを任されているのか」「どんな人と一緒に仕事をしているのか」などの影響は少なくありません。
したがって、従業員一人ひとりのモチベーションとエンゲージメントの向上が、人員配置の重要な目的のひとつとなるのです。
最適な人材配置を実践するための手順は、以下の7ステップを目安に考えると良いでしょう。
ただし、人材配置は一度行えばそれがずっと有効というわけにはいかず、ある期間のサイクルで、繰り返しこのステップを回していくことになります。各ステップの内容について、詳しく解説します。
まず、人員配置に関わる組織の達成目標を明確にします。理念的な部分だけでなく、具体的な数字も確かめるようにしましょう。
なお、次のサイクルから、このステップ1ではそれまでの達成目標がそのまま同じで良いのか、達成目標自体を更新する必要があるかを確認します。
ひとつ前のサイクルでステップ7を実施した後、そのサイクルの振り返りとして、次のサイクルのステップ1で達成目標の確認を行うイメージです。
次に、現在の人員配置を元に、従業員一人ひとりのスキルや経験、知識などのデータについてレビューを行い、現状把握をしてデータ化します。
このレビューでは、過去の人事考課の際の昇給昇格や勤怠に関するデータだけでなく、採用時のスキルや知識の情報、保持している資格、受講した社内研修は外部研修など、今後の役割として予想される専門分野に関する知識は経験についても、必要に応じて把握します。
従業員の現状レビューが済んだら、組織の目標を達成するために必要な能力や経験を持つ人材の要件を定義していきます。あわせて、その定義に対して適任者がいるかどうか、上層のポストから候補者をリストアップしましょう。
人材の要件定義と候補者の選定を終えたら、組織の目標達成のために不足している要件を明確にするための、ギャップ分析を行います。
ギャップ分析に基づいて明らかにされた要件に対して、どのような手段で補充するかが次の検討課題となります。
ギャップ分析で判明した不足要件を補充する方法は色々ありますが、その一つが人材育成です。組織の目的に合わせて効果的かつ効率的に人材育成を行う準備のステップとして、従業員の成長に関するヒアリングを実施します。
このヒアリングは、人員配置を行った後の従業員のモチベーションやエンゲージメントに影響するため、人員配置の効果に配慮して確実に行うのが望ましいです。
人材のヒアリングを元に、人材配置のパターンを何通りか想定してシミュレーションを行います。
それぞれのポストにどの人材を配置すると、その部門が全体として生産性の高いチームとなるか、上下関係のバランスが取れるか、個々の成長を促すことができるかなど、さまざまな観点から、配置のパターンをシミュレーションで試してみます。
シミュレーション時には、人員配置図を作成してみるのが良いでしょう。人員配置図は、一般的に組織図と言われているものと基本的には同じですが、組織図よりも属性として登録するデータの種類が多いのが特徴です。
例えば、組織図の場合は名前と所属部署と役職といった情報に限定される傾向にありますが、人員配置図の場合は、人員配置を行う際の判断基準となるような属性の情報(担当業務の内容、スキル、職位、雇用形態、人間関係、リーダー職経験など)と合わせて記載されます。
シミュレーションから導き出された目標達成に最適と考えられるパターンを決定し、実際の人員配置計画を作成します。
人員配置の計画は、主に採用(新卒、中途)、育成、異動、配置転換などの方法の中から、対象となる人物のヒアリング内容やキャリアプランに応じて選択することになります。
作成時のポイントは、計画を一度作成したら、最後までその計画通りに人員配置を進めることが人事担当者のミッションである、と考えすぎないことです。
なぜなら、変化の多い現代には、何らかの外的または内的な理由や事情から、人員配置計画の変更や微調整などが必要になる可能性があるからです。
そのため、後日何らかのタイミングで計画の見直しが発生する可能性を常に念頭に置きながら、計画を作成することをおすすめします。
計画を作成したら、いよいよ実行開始です。
計画の実行に必要な期間は、シミュレーションの結果、人員配置の1サイクルが完了するまでにどのくらいの期間が必要かを試算した上で決定します。その期間が終了する頃には、次のサイクルのシミュレーションを行う段階にきているはずです。
また、各ステップを実行している最中に、組織の達成目標に変更が生じたり、予定していた人員配置が計画通りに進まずに、計画自体を途中で見直す必要が出てきたりする可能性もあります。その場合には、変更が必要となったステップに戻って計画を見直すと良いでしょう。
今回紹介した最適な人員配置を実践するための7ステップは、実際に行う際にはかなりの時間と労力を要しますが、人員配置システムを活用すればその作業をかなり効率化できます。
人員配置システムとは、組織の人員の配置状況を可視化できるタレントマネジメントのITシステムのことです。
システムに登録された人員の情報は一元管理ができるため、人事の目的に合わせてそれぞれの能力、評価、育成状況などに応じた配置計画を立てることが容易になります。
異動や昇給昇格の候補者比較も、システムに蓄積されたさまざまなデータや要素に基づいて、より客観的で合理的な判断をすることが可能です。
また、業界や業績の予測不可能な変化に影響を受けるなど、仮に組織の人員配置計画に急な変更が必要となった場合、変更計画のシミュレーションが簡単にできる人員配置システムを活用すれば、何を調整すれば変化に対応できるかといった分析がよりスピーディにできるようになります。
筆者おすすめの人員配置システムは、次の3つです。
スマカンは、スマカン株式会社が提供しているタレントマネジメントシステムです。人材情報を一元管理でき、人材育成に必要な分析が簡単にできます。
システム名 | スマカン |
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提供会社 | スマカン株式会社 |
特長 | ・人材情報を一元管理して見える化できる ・人材配置シミュレーションと組織シミュレーションができる ・スキルと人事評価を連携し、経営方針を理解した上で教育に役立てることができる |
料金 | 要問い合わせ (30日間の無料トライアル有) |
向いている会社 | ・人材育成に力を入れたい企業 ・システムの導入が初めてなので、まずは無料トライアルでじっくり試してみたい企業 |
注意点 | カスタマイズ性能が高い分、機能の把握に時間がかかる可能性がある |
公式サイトURL | https://smartcompany.jp/ |
SmartHRは、株式会社SmartHRが提供するシステムで、人事・労務管理の効率化に特化しているのが特長です。
システム名 | SmartHR |
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提供会社 | 株式会社SmartHR |
特長 | ・入社から退職の中で発生する様々な労務手続きや人事業務をペーパーレス化 ・収集方法を統一可能なため、取得方法のばらつきによる、データの過不足を防げる ・人事・労務で必要な指標はあらかじめ用意されており、すぐに集計・可視化できる |
料金 | 要問い合わせ (15日間の無料トライアル有) (利用人数30名までの場合、無料で利用可能) |
向いている会社 | ・人事や労務管理にかかる時間コストが気になっている企業 ・コストをできるかぎりおさえたい小規模事業者 |
注意点 | 機能が豊富なため、組織規模によっては機能が多すぎる可能性がある |
公式サイトURL | https://smarthr.jp/ |
HRBrainは、株式会社HRBrainが提供しているタレントマネジメントシステムです。個々の人材データに加え、従業員の1on1ミーティングや、定期的な人事イベントの振り返りも一元化できます。
システム名 | HRBrain |
---|---|
提供企業 | 株式会社HRBrain |
特長 | ・データに基づいた意思決定をサポートして異動・配置の課題を解決できる ・操作がしやすく、社内にすぐに浸透しやすい ・専任のカスタマーサクセス担当者が導入時から導入後の運用まで、徹底してサポート |
料金 | 要問い合わせ (7日間の無料トライアル有) |
向いている会社 | ・人事担当者のITスキルに不安を感じている企業 ・人事配置を実施するときに、個別対応が必要な従業員が多い企業 |
注意点 | 基本的なテンプレートのカスタマイズが難しい |
公式サイトURL | https://www.hrbrain.jp/ |
最適な人員配置で生産性の向上を目指すには、人員配置にかかわる一連の人事業務をいかに効率化できるかが重要になります。
従業員のパフォーマンスを最大限に引き出すための人員配置のプロセスが、人事担当部の生産性を下げてしまっては本末転倒です。
組織で働く従業員、そのパフォーマンスを最大限に引き出そうと努力する経営層、実行役である人事担当部門、それぞれにとって、まさに三方よしの人員配置を目指したいものです。
その実現の一翼を担ってくれる人員配置システムにも色々なタイプがあります。それぞれの特長をうまく活用して、自社の理想の人員管理の仕組みを確立して組織の目標達成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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