目次

  1. イタリアで共感した古いものの「普遍的価値」
  2. 東日本大震災を機に日本文化に目覚める
  3. 「自分にしかできないこと」を仕事に
  4. 日本の着物とイタリアのシルクを融合
  5. クラウドファンディングでファンづくり
  6. 量産型のブランドで伝統産業に貢献
  7. 西陣織でつくる「一生着られるウェディングドレス」
  8. 西陣織を現代風にアップデート
  9. 大切にしているのは、“共感者”を増やすこと
  10. 縁を紡いでビジネスに発展
  11. コレクションでリピーターを獲得
  12. 革のデッドストックに着目
  13. メディアのようなブランドでありたい

 「文化を纏(まと)う」をコンセプトに、D2Cアパレルブランド「renacnatta(レナクナッタ)」を展開している大河内さん。日本とイタリアの素材を組み合わせたファッションアイテムを企画・販売しています。その原点は、学生時代にさかのぼります。

高校卒業後の大河内さん。お世話になったシスターと

 大河内さんは、15歳のときに家族でイタリアのミラノに移住しました。当時、広告のアートディレクターになるのが夢だったことから、美術高校に進学。卒業後は、Istituto Europeo di Design(ヨーロッパデザイン学院)の広告コミュニケーション学科で、アートディレクションを学びました。

 イタリアで深く共感したのは、歴史ある建物や古いものを大切にする文化でした。

 当時、大河内さんが住んでいたのは、1800年代に建てられたアパートメント。学校の隣には3世紀から残る教会があったり、休日は美術館でルネサンス期の絵画を見たりという暮らしを続けるなかで、古くから残る普遍的価値があるものの魅力に引き込まれていきました。

 こうしてイタリアでの生活に慣れるにつれ、いつしか日本への関心が薄れていったといいます。

 そんな大河内さんの転機となったのが、2011年3月の東日本大震災でした。イタリア人の友人たちに母国のことを心配されたことから、改めて自分が日本人の代表であるという自覚が芽生えたといいます。

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