31年前の1991年8月14日、NTTドコモの前身、「エヌ・ティ・ティ移動通信企画」が株式会社として発足しました。

将来の携帯電話関連の事業拡大を見越してNTTから独立し、翌年の1992年にNTTから移動通信事業の譲渡を受ける形で営業を開始しました。会社名が「エヌ・ティ・ティ移動通信網」と変わり、「DoCoMo」のブランドを使い始めるのも、この年のことでした。

各家庭に引かれた固定電話が主流で、個人が携帯電話を持つ時代ではありませんでした。社用車やハイヤー向けの車載電話やポケットベル、船舶電話などが事業の中心でした。

個人が携帯電話を持つようになるのは通信方式がアナログからデジタルに切り替わった1990年代の半ばのことです。

携帯電話が個人向けに普及した当初の商品=朝日新聞社

ソニーや富士通、NEC、日立製作所、シャープなど大手電機メーカーが競い合うようにデザイン性にすぐれた携帯電話を発売。1999年には世界に先駆けて「iモード」を開始し、携帯電話でインターネットにつなぐことができたりメールの送受信ができたりするようになると、片時も手放せないツールになり、NTTドコモの収益も拡大が続きます。

NTTドコモが東証1部に上場したニュースを伝える1998年10月22日付の朝日新聞夕刊(東京本社版)

2010年代になると、アメリカのアップルが手がける「iPhone」人気が日本でも拡大。当初、iPhoneはNTTドコモのライバル、auとソフトバンクユーザー向けだけでしたが、2013年からはドコモユーザー向けにも供給。iPhone人気に再び火がつくきっかけにもなりました。NTTドコモの2021年3月期決算の売上高は4兆7000億円。学生の就職人気ランキングでも上位の常連で、日本を代表する大企業になりました。

NTTドコモを再びNTTの完全子会社にするニュースを伝える2020年9月30日付の朝日新聞(東京本社版)

NTTドコモは2020年には第5世代「5G」のサービスを開始。1998年に東証1部に上場しましたが、NTTグループで新たな時代の技術開発への投資を強化するため2020年に上場を廃止し、再びNTTの完全子会社になりました。

5Gの通信速度は前世代の4Gより数十倍も速くなり、映画やスポーツ映像を臨場感たっぷりに楽しめたり、家電やセンサーなど家庭にある多くの機器をネット接続して連携したりできるようになりました。自動運転や遠隔医療、農業、教育など新たな分野への展開も近い将来、期待されています。

NTTドコモが手がけるサービスも、ますます多様なものになりそうです。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年8月14日に公開した記事を転載しました)