45年前の1977年7月13日、アメリカ・ニューヨークで大規模な停電が起きました。

朝日新聞東京本社発行の1977年7月14日付夕刊

当時の朝日新聞は、停電の混乱の様子をルポルタージュでこう伝えています。

「黒いパニック。13日夜、ニューヨークは12年ぶりの大停電に見舞われた。ヤミに沈む町に黒々とした摩天楼が墓石のようにそびえる。一斉に明かりが消えた瞬間、町からオーッという叫び声があがった。町の明かりといえば、道路を走る車だけ。家に帰れない、と泣き出すOL。急いで家庭へ連絡しようと、電話ボックスにかけつけるが、問い合わせが殺到したためヒューズが飛んで、通じない」

朝日新聞東京本社発行の1977年7月14日付夕刊

停電から一夜が明けた7月14日朝の様子を伝える紙面では、停電によって一部市民が暴徒化し、スーパーなどの商店で略奪行為が目立ったこと、そして暴徒化した市民の逮捕者が約2000人に上ったことが記されています。

 

停電の状況を時間ごとに表した時系列表によると、停電が発生したのは7月13日午後9時34分。

「明り消える。どっと街中から歓声」と記されています。

その約3時間後の14日午前0時30分には「スーパー襲撃、略奪が始まった。逮捕者約360人」。

さらに午前2時5分「商店主らはピストル、散弾銃を持ち出して自衛態勢をはじめた。店舗襲撃による逮捕者880人に」。

午前2時25分には「逮捕者1175人に。手錠も品切れ。警官の負傷者も出る。ブロンクスで放火。消防士らもけが」とあり、停電による治安の悪化がみてとれます。

 

ニューヨークではその後も1990年、2003年にも大規模な停電が起きています。

2009年当時のタイムズスクエア=アメリカ・ニューヨーク、朝日新聞社

2003年のニューヨーク大停電を受けて、当時の朝日新聞の記事では日本で大規模停電が起こる可能性について検証。

その記事では「ゼロではないが、小さいだろう」という電力会社関係者のコメントが寄せられていました。

 

しかし、北海道地震をきっかけに2018年9月に、北海道のほぼ全域が停電する「ブラックアウト」が日本でも起きました。

停電の原因は、電力の需要と供給のバランスが大きく崩れたことなど複合的とされていますが、電力の供給が当たり前になりつつある現代だからこそ、停電時の備えについても考えておきたいですね。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年7月13日に公開した記事を転載しました)