1999年3月29日、ニューヨーク株式市場で、ダウ工業株平均が終値で初めて1万ドルを突破しました。

ニュースなどでよく見聞きする「ダウ平均」とは何なのでしょうか。

ダウ工業株平均が終値で初めて1万ドルを突破したことを伝える1999年3月30日付朝日新聞夕刊(東京本社版)

ダウ平均は、アメリカの主な業種を代表する30社で構成する株価指数のことです。

ダウ・ジョーンズ通信社が1896年、12銘柄で発表を始めたのが起源で、1928年に現在と同じ30銘柄になりました。

アメリカの株価指数では他に、ハイテク銘柄の多い「ナスダック総合指数」、大企業を幅広く網羅した「S&P500」が有名です。

日本では、代表的な企業225社の株価から算出する「日経平均」がよく知られています。 

 

ダウ平均では、30の構成銘柄が定期的に見直されます。

銘柄に選ばれることは優良企業の証しとされ、アメリカの産業界の栄枯盛衰を反映してきました。

2000年以降では、自動車のゼネラル・モーターズ(GM)、パソコンのヒューレット・パッカード(HP)などが除外され、代わりにナイキやアップル、ゴールドマン・サックスなどが加わりました。 

ニューヨーク証券取引所の様子=2006年11月、朝日新聞社

株価の推移を見ていきます。

ダウ平均が100ドルに乗ったのは1906年、10倍の1000ドルを超えたのは1972年、さらに10倍の1万ドルに乗せたのが1999年です。

その後、2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショックによる急落を経て、2017年には終値で初めて2万ドルを突破しました。

2020年11月には終値で3万ドルを超え、2021年3月に入っても、3万2千円を超えて史上最高値を更新しました。

史上初めて3万ドルを超えたアメリカのダウ工業株平均=2020年11月、東京都中央区、朝日新聞社

2021年2月8日付朝日新聞朝刊(東京本社版)は、各国の政府や中央銀行がコロナ対策として巨額の財政支援や金融緩和を打ち出していることが株高の一因だと伝えています。

コロナ禍の株高で富裕層がますます豊かになる一方、多くの人が雇用を失っている現実もあるとして、「弱い立場の人にしわ寄せが来ている」とも指摘しています。 

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年3月29日に公開した記事を転載しました)