1958年3月30日、東京・千駄ケ谷に国立競技場が完成し、落成式が開かれました。

その後、2014年に閉鎖するまで、スポーツやコンサートの舞台として大観衆を集めました。

国立競技場で落成式が行われたことを伝える1958年3月30日付朝日新聞夕刊(東京本社版)

前身は1924年に造られた明治神宮外苑競技場です。

日本初の大規模スタジアムで、戦時中には学徒出陣の壮行会も行われました。 

 

これを1957年に解体し、着工からわずか1年2カ月で完成させたのが国立競技場です。

1958年5月から開かれた第3回アジア競技大会に間に合わせ、主会場として使われました。

その成功が1964年東京オリンピックの招致につながり、開閉会式や陸上競技などの舞台となりました。

その後、サッカー日本リーグや大学ラグビーなどの「聖地」としても知られるようになります。

完成直後の国立競技場の姿=1958年3月ごろ、朝日新聞社

しかし、2011年ごろ建て替えの議論が浮上。

当時、東京都は2020年の東京五輪招致を目指していましたが、老朽化により今の国際大会の基準を満たせないことが大きな理由でした。 

 

建て替えは決まったものの、その後の計画は迷走します。

イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏の案がコンペで採用されましたが、高額な費用などがネックとなり、政府は白紙撤回を宣言。

2度目のコンペで提案が採用された、大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏らのチームが設計や施工を担いました。

 

新しい国立競技場は、緑豊かな周辺環境との調和を重視する「杜のスタジアム」をコンセプトに掲げました。

スギやカラマツなどの国産材をふんだんに使い、観客席を包み込むような広い屋根が特徴です。

敷地内には5万本近い木が植えられました。

完成した新国立競技場=2019年11月、朝日新聞社

完成したのは2019年11月末。スポーツイベントとして初めて使われたのは、2020年元旦のサッカー天皇杯決勝です。

2020年夏の東京五輪は延期されましたが、その後も陸上やラグビーなどの大会が開かれています。

ここからどんな記録と感動が生まれていくのか、楽しみにしたいですね。 

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年3月30日に公開した記事を転載しました)