64年前の1958年8月25日、日清食品が世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売しました。

当時の価格は1食35円でした。

日清食品のチキンラーメン=1985年、朝日新聞社

1985年8月30日付朝日新聞朝刊(東京本社版)によると、当時のアメリカは、自国で余っていた小麦を日本に買わせようと躍起でした。

大阪に住んでいた日清食品の創業者・安藤百福(ももふく)さん(1910-2007)が、この安い小麦粉を使って、簡単で保存のきくラーメンを作れないかと考えました。

終戦から13年。

まだ豊かとは言えない時代でしたが、安藤さんはこう考えたそうです。

「日本はこれからどんどん立ち直っていく。人々は仕事に、レジャーにとますます忙しくなる。お湯をかけるだけで食べられるラーメンが必ず売れる」

そこで自宅の裏庭に小屋を建て、一人で試作を繰り返して生まれたのがチキンラーメンでした。

即席麺の歴史をたどる1985年8月30日付朝日新聞朝刊(東京本社版)の記事

2009年8月24日付朝日新聞夕刊(東京本社版)によれば、難題だったのは長期保存に耐える「麺の乾燥法」でした。

安藤さんは、ある日、妻の仁子(まさこ)さんが夕食に天ぷらを揚げているのを見て、麺を揚げる「瞬間油熱乾燥法」を思いついたそうです。

チキンラーメン誕生30年を伝える1988年8月22日付朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事

チキンラーメン誕生から30年となる1988年8月22日付朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事は「初めは子どものおやつぐらいにしか思われず、お座なり、手抜きの代名詞のようにいわれた“お手軽食品”も、いまや国内で年間四十五億食も食べられる実力派に成長した」と伝えています。

経済成長とともに歩んできた即席ラーメンが、日本の食生活やライフスタイルに与えた影響は小さくありません。

チキンラーメンとカップヌードルを手にする日清食品創業者の安藤百福さん=2005年、朝日新聞社

2018年度にはチキンラーメンの売上が過去最高を記録。2019年3月5日付朝日新聞朝刊(東京本社版)によると、それまで最高だった2003年度の記録を15年ぶりに更新しました。 

2018年はチキンラーメン誕生60周年となる年。

安藤さんと妻の仁子さんをモデルにしたNHKの連続テレビ小説「まんぷく」が2018年10月から2019年3月まで放映され、インスタントラーメン開発の苦労話が再び脚光を浴びた年でもありました。

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年8月25日に公開した記事を転載しました)