目次

  1. 「後藤製菓を継ぐ」と作文に
  2. 「せんべい王子」と名付けられ
  3. 営業に出て抱いた危機感
  4. 100周年で新ブランドを
  5. 試行錯誤の末に完成した商品
  6. 手塗り体験キットを発売
  7. ショウガの産地復活を目指す
  8. 「守らなければ」という使命感

 臼杵煎餅は軽く曲がった小麦粉のせんべい生地に、ショウガと砂糖を煮詰めた蜜が塗られているのが特色です。臼杵がかつてショウガの一大産地だったことがルーツで、江戸時代の参勤交代の携行食に用いられたといいます。

 1919年創業の後藤製菓は臼杵煎餅を手がける企業の一つで、従業員は約40人になります。パッケージに描かれた臼杵大仏からほど近い場所に工場兼店舗などがあり、県内の土産品店でも販売されています。

 年商は1億円で、臼杵煎餅を製造する会社では代表的存在です。

後藤製菓の主力商品である「臼杵煎餅」

 後藤さんは小さいころから後を継ぐことに疑問を抱きませんでした。「以前は自宅のすぐ横に工場があり、せんべいの香ばしい匂いに囲まれて育ちました」

 従業員に「ただいま」とあいさつしたり、臼杵煎餅のロゴ入りの商用車に乗ったりするのは日常のこと。小学校3年生のとき、20年後の自分に向けた作文に「後藤製菓を継ぎ、新しいお菓子を作っている」と書いたそうです。

 高校も大学も大分で、卒業後の2013年に家業に入りました。「大学卒業後もスムーズに入社しました。父は祖父が急病に倒れて突然承継したので大変だったそうです。若いうちに継がせようと前々から考えていたのでしょう」

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