目次

  1. レコードファンの「命綱」に
  2. 「お客様が1人でもいるかぎり」
  3. 大学時代に親しんだレコード文化
  4. レンズクリーナーの営業を担当
  5. クライアントと職人を橋渡し
  6. 営業先から浴びた厳しい非難
  7. 「決定権持ってますやろ」と迫られ

 JICO本社がある新温泉町は、日本海に面した兵庫県北部に位置しています。江戸時代から明治時代にかけて「浜坂針」と呼ばれる上質な縫い針の産地として栄えました。

 1873年創業のJICOも、縫い針製造にルーツを持つ新温泉町の町工場の一つです。現在は縫い針を製造していませんが、ダイヤモンド素材を用いたレコード針が売り上げの約3割を占め、今も看板事業となっています。

兵庫県新温泉町のJICO本社

 売り上げの約7割を占める稼ぎ頭は、ダイヤモンド素材の加工技術を生かした切削工具の先端部分(回転ビット)などの産業用機械工具です。同社では職人を中心に60人弱の従業員が働いています。

 JICOの企業ブランドを担うレコード針は、いわゆる「サードパーティー」の逸品として世界に知られてきました。

 今もレコード針約2200種類超を生産する能力を維持し、メーカーの純正品に劣らない技術で世界に評価されています。メーカー純正品のレコード針が生産終了したときには、レコードファンの「命綱」として頼られてきました。

 レコード針は売り上げの9割を海外向けが占め、最盛期には年間20万本のレコード針を製造していました。

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