目次

  1. サブスクがレコード人気を後押し
  2. 技術力の陰りに対処
  3. 若手育成へ社内の意識を変革
  4. カートリッジメーカーへの進化
  5. ジャズ界のカリスマと共同開発
  6. 「変えないこと」の重要性

 1873年に創業したJICOは、約2200種類超のレコード針を生産しています。仲川さんが1992年に家業に入ってからCDの隆盛でレコード針の売り上げが大きく落ち込む中、CDプレーヤーなどのレンズクリーナーに活路を見いだし、培った営業力で家業の苦境を支えました(前編参照)。

 この10年は一転、アナログレコードが往時の勢いを取り戻そうとしています。日本レコード協会の統計資料によると、2013年には4億円だったアナログレコードの生産額は、18年に20億円を突破し、21年は前年比で約18億円増の39億円にジャンプアップしました。

 仲川さんによると、レコード人気の復活は16年を境に力強いトレンドとして感じ始め、レコード針の需要も大きく高まっていました。

 「背景にあるのは、音楽のサブスクリプションサービスの普及です。CDで曲を発売しないアーティストが現れた一方、音にこだわるアーティストはあえてレコードで曲を発売するようになりました。いわばサブスクとレコードの両極化です。このトレンドが、レコード人気復活の要因と見ています」

 コロナ禍でステイホームが呼びかけられたのも、レコード市場にはプラスに働きました。「自宅のオーディオ環境を整える人が増加したため、レコード人気はさらに過熱しています」

 家業が波に乗る中、仲川さんは20年、JICOの4代目社長に就任しました。先に社長に就任していた兄の和志さんが体調を崩したことがきっかけでした。

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