目次

  1. 毎月いくら貯めればいい? 手取り月収から目安を考える
  2. 100万円貯まるのは何年後?
  3. 35歳の自分はいくら貯蓄がある? 妄想シミュレーションでやる気アップ
  4. 継続は力なり。貯蓄を続けられると自信がつく

前回は、貯めるための口座を上手に使い分け、確実にお金を貯めるための「秘策」をお伝えしました。お給料から先取りで「将来のために絶対手をつけない貯蓄」を積み立てていくと、本当に早いペースで貯まっていきます。

25~34歳の方たちに「お給料から先取りで積立貯蓄をしましょう」とアドバイスすると、「毎月いくら積み立てるといいですか」と聞かれます。

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そうですね、収入は人によって異なりますから、「自分の適性額」を知りたいのは当然のこと。

そこで、毎月の積立額の目安を手取り月収別に考えてみました。ひとり暮らしなのか、実家住まいなのかによっても貯められる金額は違いますので、下の表から目安額を見つけてみてください。

毎月の積立貯蓄額の目安(シングルの場合)=深田晶恵、bizble編集部作成

表の金額を参考に、さっそく積み立てを始めてみましょう。2カ月くらい経ったところで、「生活が苦しくなりすぎ」と感じたら積立額を減らし、逆に「もう少し貯められるかも」と思うなら、積立額をアップします。

大事なのは「年収の2割は貯めなくては」などと決めるのではなく、自分にとって「適正な積立額」を見つけることです。

これまでまとまったお金を貯めたことがない人は、まず「100万円」を目標にしてみましょう。「100万円」というまとまった額が貯まると、達成感があり、うれしいものです。目標に到達すると「自分にも貯められるのだ!」という自信にもなります。

 

では、目標額100万円の達成時期はいつでしょう。

無理はしたくないから、と毎月の積立額を1万円とし、ボーナスは貯めないとすると、「100万円÷1万円=100ヶ月」ですから、8年以上もかかる計算となります。これは、時間がかかりすぎ……かもしれません。

月3万円、年2回のボーナスの度に10万円積み立てると、どうでしょうか。「3万円×12カ月+10万円+10万円」ですから、1年で56万円貯まります。2年かからずに100万円達成です! 8年と2年では大きな違いですね。

 

100万円貯まる見通しを立てるために、「毎月」と「ボーナス」からの積立額から年間の貯蓄額を計算してみましょう。

1年間で貯まる金額がわかると、100万円達成時期も計算できます。先ほどのように「月1万円の積み立て」だと、8年以上かかることがわかりますので、修正が必要。毎月積立額をアップして、ボーナスからも貯めるように頑張ってみましょう。

bizbleの私の担当編集者さんは「深田さん、35歳でいくら貯金があるといいですか。読者に目安を伝えてください」と言います。う~ん、難しいリクエストです。

なぜ難しいかというと、年収は人によってさまざまですし、ひとり暮らしなのか、実家住まいなのかによっても、貯められる金額は異なります。さらに、この記事を何歳で読んで、貯蓄に目覚めるのかによっても、35歳の時の結果は変わってきます。

そこで私が考えたのは、「妄想シミュレーション」です。

28歳で年間56万円の積立をスタート(月3万円、ボーナス10万円)。30歳からボーナスの積立を10万円増額=深田晶恵、bizble編集部作成

前提を28歳会社員、毎月3万円、ボーナス10万円の積み立てをする人とします。30歳になる2年後からはボーナスからの積立を10万円増額する予定です。

貯蓄ゼロからスタートしても、これから計画通りに積み立てを実行すると、35歳で568万円貯まるはず! 500万円超ってすごい。まだ積み立てをスタートしていなくても、貯まった気分になれそうです。これが妄想シミュレーションです。

実は、この妄想シミュレーションは私がやっているものです。毎年12月末に「今年の積立額」をエクセルに金融機関・商品ごとに入力しています。フリーランスなので、売上が良かった年は「プラスαの貯蓄」をするので、それも入力。前年の貯蓄額に今年の貯蓄額を足すと、「今の貯蓄総額」となりますね。

45歳くらいから始めた習慣なのですが(今、54歳です)、あるとき「このまま目標の積み立てを続けていくと、60歳、65歳の時はいくら貯まるのだろう」と思いました。そこで、翌年以降のセルも増やして「妄想シミュレーション」してみたのです。

「継続は力なり」とはよく言ったものです。中断することなく、積立貯蓄を継続していくと、65歳にはまとまった金額になることが判明(金額は秘密)。「65歳の貯蓄額」を妄想で終わらせないために、目標積立額は何としてでも続けていく決心をしました。

 

実は、昨年、今年と新型コロナの影響で地方での講演や大きなイベントの仕事が減ったため、売上は多少落ちました。でも、妄想で終わらせない決心をしたおかげで、積立額は死守できたのです。つまり、積立貯蓄を減額せずに実行し、残ったお金で暮らせたということ。売上が減っても何とかなるものだと、ちょっぴり自信がつきました。

私は54歳なので、「60歳と65歳の貯蓄額」を妄想しますが、みなさんはまず「35歳」でやってみてください。20代、30代は、お給料に変化もありますし、結婚や転職などのライフイベントも目白押し。妄想シミュレーション通りに貯まっていかないかもしれませんが、やってみる価値はあります。

 

冒頭で生活が苦しいと感じたら積立額を下げるのもあり、と書きましたが、あまり自分を甘やかすと、貯蓄は一向に増えていかないことも覚えておいてください。

積立額は「ほんの少しの無理をしているかな」と感じるくらいがベスト先取りで積み立てし、残ったお金で暮らしていくのが、お金が貯まる人への近道です。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年10月25日に公開した記事を転載しました)