目次

  1. 航空機部品と家具が会社の両輪に
  2. 実家からの食料のなかに決算書が
  3. 「家族経営」に感じた組織の課題
  4. 全社員から改善策を募る
  5. 結束を深めた「アラフォーミーティング」
  6. ライフスタイルを提案する家具店へ
  7. 家具店内にカフェをオープン
  8. 部署の垣根を越えた取り組みも実現

 亀田産業は、東京で縫製業や木材加工、材木の卸商をしていた亀田さんの祖父が1950年代に宇都宮へ拠点を移したことから始まります(法人設立は1968年)。当初は栃木県内に工場を持つ航空機メーカーから飛行機・ヘリの部品加工や座席シートの修理などを受注する傍ら、一般家庭向けに家具を販売していましたが、80年代に入ると、航空機用の構造材料として用いられるハニカムコア(蜂の巣のような六角形を隙間なく並べた構造体)の加工を受注するようになります。

ハニカムコアの加工現場。今も一点一点、職人の手作業によって作られる(亀田産業提供)

 ハニカムコアはその独特の仕様から緻密な作業が必要となり、現在でもほとんどの工程を機械に頼ることなく職人の手仕事によって作られ、世界品質の製品を30年以上にわたって生み出し続けています。

 その後、住宅・オフィスの内装工事業や酒類販売、カフェの運営にも進出し、独自の事業ポートフォリオができあがりました。

 亀田さんは横浜国立大学を卒業後、日本移動通信株式会社(現KDDI株式会社)に入社し、マーケティングやブランディング、広告宣伝に長く携わってきました。

 「3人姉弟の長男でしたが、先代である父や周囲からプレッシャーはほとんどありませんでした。ですから、就職した後も家業を継ぐことは意識していませんでした」

 亀田さんに転機が訪れたのは2014年。両親から「社外取締役に就任してほしい」と要請を受けたことでした。

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