目次

  1. 規模拡大を目指さないから「小牧場」
  2. 「兄の育てた豚を丸ごと使い切る」
  3. 「自分たちで売るべき」父の問題意識
  4. 兄はオランダ留学で最先端の養豚学ぶ
  5. 弟はドイツで7年修行 マイスターに
  6. 妹は中国留学から大手通信会社へ
  7. 生ハムとサラミは「DEAN&DELUCA」に
  8. 飼料価格は1.5倍 ウクライナ侵攻が影響
  9. チーズやビールも製造 「循環型」農場の夢

 ふくどめ小牧場は福留家7人を含む計14人が働く有限会社です。1972年、現会長の公明さんが24歳のときに養豚業で創業し、黒豚を中心に生産してきました。1995年に法人化し、福留畜産となります。2004年、日本でここにしかいないというイギリス原産の希少種「サドルバック」に加え、サドルバックと白豚を掛け合わせたオリジナル豚「幸福豚」の生産に乗り出しました。2011年には自社の豚肉を原料にした加工品の製造・販売を開始。2012年、ふくどめ小牧場に改称しました。

福留家のみなさん。右から3人目が3兄妹の父・福留公明会長、4人目が母・鶴美さん(ふくどめ小牧場提供)

 2代目社長の福留俊明さんは2001年、23歳のときから家業に従事し、2021年9月に社長に就任しました。

 「僕らは目の届く範囲の頭数を育てることにしていて、規模の拡大は考えていません。家庭の食卓に『おいしい時間』という小さな幸せを直接届ける。謙虚に、うそをつかない。そんな思いを込めて『小牧場』と名付けました」(俊明さん)

 ふくどめ小牧場では、俊明さんが豚の生産(1次産業)、弟の洋一さんが加工(2次産業)、妹の智子さんが商品管理や販売(3次産業)を担当。3つを足しても掛けても6になることから、こうした事業形態を「6次産業」と呼びます。それぞれが専門性を発揮し、3兄妹で6次産業化を実現しているのです。2021年には「令和3年度全国優良経営体表彰」の6次産業化部門で農林水産大臣賞を受賞しました。

 現在、ふくどめ小牧場には母豚300頭を含めて4000頭近くの豚がいます。俊明さんを中心に4人で豚の飼育を担当しています。

 ふくどめ小牧場が生産するサドルバックは繊細で肥育の難しい豚です。豚にストレスを与えず、安定して子豚を産んでもらうため、スペースを広くするといった豚舎の改良を続けています。

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