目次

  1. 紹介料に用いる主な勘定科目
    1. 紹介料の支払先が紹介業者の場合
    2. 紹介料の支払先が紹介業者以外の場合
    3. 紹介料をもらったときの勘定科目と仕訳例
  2. 紹介料を仕訳するときに知っておきたいポイント3つ
    1. 交際費に該当しないケースがある
    2. 紹介料の支払いは消費税の対象取引
    3. 税務調査の対象になることが多い
  3. あわせて覚えておきたい紹介料を支払うときの注意点
  4. 紹介料の仕訳実務は慎重に

 ビジネスは顧客がいないと成り立ちません。顧客は、自社の営業だけで見つけられれば良いですが、現実問題として紹介業者を活用したり、得意先や従業員から紹介してもらったりすることもあるでしょう。その場合は紹介料を支払うことがビジネス慣行上あります。

 勘定科目は基本的にどれを使うべきかは決まってはいませんが、紹介料の勘定科目は、支払先ごとに次を用いるのが一般的です。

紹介料の支払先 主に用いる勘定科目
紹介業者 支払手数料(場合によっては販売手数料、広告宣伝費)
紹介業者以外 接待交際費(場合によっては支払手数料)
従業員 給与手当

 ここで言う紹介業者とは、税法上の紹介業者、すなわち「取引に関する情報の提供、また取引の仲介、代理、あっせんなどの役務の提供を行うことを本業としている者」を指します(参考:第1款 交際費等の範囲丨国税庁)。

  • 紹介業者に潜在顧客を紹介してもらった
  • 工事仲介業者に建設工事を紹介してもらった
  • 不動産業者にオフィスなどを紹介してもらった
  • 人材紹介業者に従業員を紹介してもらった

 上記のようなケースのときに、紹介の対価として金銭を受け取る業者は、税法上の紹介業者に該当する可能性が高いでしょう。

 紹介業者に紹介料を支払った際は、「支払手数料」「販売手数料」「広告宣伝費」のいずれかを使用します。ただし、売上に結びつかない紹介料は「支払手数料」が最適です。具体的な仕訳例を以下にご紹介します。

【仕訳例①】
(例)潜在顧客を紹介業者に紹介してもらい、消費税込で55,000円を支払った。その後、その顧客が自社の商品を購入した。

 自社の売上に結びつく紹介であれば、「支払手数料」「販売手数料」「広告宣伝費」のいずれを採用しても問題はありません。ただし、勘定科目は継続的に使用しましょう。

借方 貸方
販売手数料 50,000円 現金預金 55,000円
仮払消費税 5,000円

【仕訳例②】
(例)不動産業者にオフィスを紹介してもらい、手数料を55,000円支払った。

 オフィス紹介のように、売上に結びつかない紹介のときは、「支払手数料」にします。

借方 貸方
支払手数料 50,000円 現金預金 55,000円
仮払消費税 5,000円

 紹介を本業としていない相手に紹介料を支払う場合は、それが社外関係者なのか従業員なのかによってさらに変わります。

①取引先など社外関係者のとき

 紹介業者以外の社外関係者に支払う紹介料の勘定科目は、原則として交際費です。交際費とは、「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」(引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算丨国税庁)を指します。

【仕訳例】
(例)得意先A社に内装工事を請け負ってくれる業者を紹介してもらい、紹介料55,000円を支払った。

借方 貸方
交際費 50,000円 現金 55,000円
仮払消費税 5,000円

 なお、詳細は後述しますが、租税特別措置法が定める要件を満たせば、交際費以外の勘定科目を用いることができます。

②従業員のとき

 会社によっては、会社に見込客を紹介し、そこから受注に至ったときに、その見込客を紹介した従業員に対して紹介料を支払う規程を設けているところもあるでしょう。

 その場合、支払った紹介料に用いる勘定科目は原則として給与手当になります。当該従業員が行った紹介が社内規程に沿って行われた業務とみなされるためです。

 なお、給与手当は源泉徴収の対象となるため、手続きを忘れないように注意しましょう。

【仕訳例】
(例)従業員Aに見込客を紹介してもらったので、会社の規程に沿って30,000円支払うことになった。なお、実際の支給額は源泉徴収として5,000円を差し引いた金額の25,000円であった。

借方 貸方
給与手当 30,000円 現金 25,000円
従業員預り金 5,000円

 紹介料は、支払うだけでなく、自社が受け取る場合もあります。その場合は、紹介料の受け取りが定款に記載された業務の範囲内かどうかによって、用いる勘定科目が変わります。

【仕訳例①】
(例)取引先A社にB社を紹介し、紹介料を税込11,000円収受した。なお、自社が紹介業務をすることを定款に記載している。

 自社が紹介業務をすることを定款に記載している場合は、本業になるので、売上高として計上します。

借方 貸方
現金 11,000円 売上高 10,000円
仮受消費税 1,000円

【仕訳例②】
(例)取引先A社にB社を紹介し、紹介料を税込11,000円収受した。なお、自社が紹介することを定款には記載していない。

 自社の定款に記載がなければ、それは本業ではありません。本業ではない収入は、営業外収益に計上します。頻度が少なく、金額も全体の収入と比較して少額の場合は、雑収入とすることが一般的です。

 一方、金額が多額になってくるようであれば、営業外収入に「受取手数料」など、自社で区別がしやすい勘定科目を作成し、そこに計上します。

借方 貸方
現金 10,000円 雑収入 10,000円
仮受消費税 1,000円
紹介料の勘定科目と仕訳例
紹介料の勘定科目と仕訳例(デザイン:増渕舞)

 紹介料を仕訳するときは、次の3点もおさえておきましょう。

 紹介業者以外に支払った紹介料は、原則として交際費になるというのは上述しました。

 交際費は、期末時点で資本金1億円以下の法人の場合は選択適用となりますが、800万円までしか損金にできません。また、期末時点で資本金が1億円を超える場合は、紹介手数料相当分は全額損金に計上できないことになっています。

 しかし、租税特別措置法61の4(1)-8では、一定の要件を満たせば交際費には該当しないとされています。

1.その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること 2.提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること 3.その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること

第1款 交際費等の範囲・(情報提供料等と交際費等との区分)丨国税庁

 事前に契約書を締結し、紹介料の算定も世間一般的な料率と比較して妥当な金額になっていれば、交際費ではなく別の勘定科目を用いることができます。

 ただし、租税特別措置法の要件を満たしていると思っていたら、実はそうではなかった、ということがないわけではありません。不用意な税務リスクを負わないようにするためにも、交際費以外で仕訳できるかどうかの判定は慎重に行う必要があります。

 紹介料は、従業員以外に支払う場合は、消費税の対象取引になります。

 自社が紹介料を受け取るときで自社が課税事業者である場合は、忘れずに消費税も請求しましょう。自社が紹介料を支払うときで支払先が課税事業者である場合は、仮払消費税を一緒に計上しましょう。

 紹介料は、交際費になる可能性もある取引のため、税務調査の対象になることが多いです。所得を隠すために紹介料を記帳していなかった、従業員が取引先からバックマージンをもらっていた、といった不正が少なくないことも要因でしょう。

 税務調査でトラブルが起きないようにするためにも、紹介料は適切に書類を発行して帳簿に記載することが重要です。内容をきちんと説明できるようにもしておけば、提出を求められても対応に困らずに済むでしょう。

 紹介料は税務調査の対象となりやすいため、仕訳時だけでなく、実際に紹介料を支払うときにも注意したほうがよいでしょう。

 例えば銀行振込で紹介料を支払う場合は記録として残るため管理が容易ですが、現金手渡しの場合は出納記録が追いづらくなるリスクがあります。先方から領収書をもらうなどして、あとから確実に確認が取れるようにしなければいけません。

 また、商品券などの金券で紹介料を支払うときは、次の点に気をつけましょう。

  1. 従業員に支払う場合、金券であっても源泉徴収をする必要がある。また消費税は発生しないため、課税仕入とはならない
  2. 紹介業者や紹介業者以外の社外関係者に支払う場合、商品券の購入時は課税取引にならないが支給した際に課税取引となる。商品券が単なる贈答の場合は、課税仕入にならないため、紹介手数料相当での支払いということを記録しておく

 ビジネスを行ううえで、顧客とつながることは非常に重要な要素であり、紹介料は広く一般的な存在です。

 しかしながら、状況によって採用する勘定科目が異なり、あとになって納税額が増える可能性もあります。

 また、誤りや不正が発生する可能性が高い領域でもあるため、慎重に行いましょう。