コロナ禍で地域にチャンス

 永岡さんは2018年7月におてつたびを創業しました。「お手伝い」と「旅」を掛け合わせ、地域に深く関わりたい旅行者と、人手不足で働き手を探す事業者をつなぐプラットフォームを展開。働き場所を提供しているのは750事業者で全都道府県をカバーし、働き手となる旅行者の登録も2万3千人を数えます。

永岡里菜さん(おてつたびCEO) 三重県尾鷲市出⾝。千葉⼤学卒業後、PR・プロモーションイベント企画制作会社勤務、農林⽔産省との和⾷推進事業の⽴ち上げを経て独⽴。⼀⾒何もなさそうに⾒えてしまう地域に⼈が訪れる仕組みを創ろうと、2018年7⽉におてつたびを創業。「⽇経ソーシャルビジネスコンテスト」優秀賞など受賞歴多数

 竹本さんは石川県能美市で代々続く農家の10代目として生まれ、大学卒業後に家業に入りました。社員は7人。現在50ヘクタールの田んぼを借りて、米などを作っています。いち早くネット販売に取り組み、大手農機具メーカーの井関農機などと次世代の田植え機の開発を手がけるなど技術革新も進めています。

竹本彰吾さん(たけもと農場代表取締役) 鳥取大学卒業後、家業に就農してインターネット販売を開始。イタリア米の生産など意欲的な農業を進める。若手農業者が集う全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)の会長も務めた。2020年からは農業系Podcast番組「青いTシャツ24時」を配信し、農業の魅力を広めている。22年11月に初の著書を出版予定

 竹本さんは20年からおてつたびに登録し、これまで農繁期に延べ5人の人材を受け入れ、1回あたり10日から2週間ほど、田植えなどを手伝ってもらいました。竹本さんは「旅行者と触れて従業員の意識も変わり、忘れかけていた農業への初心を思い返すことができました」。

 コロナ禍にもかかわらず、おてつたびは事業者、旅行者ともに登録数が急伸しています。永岡さんは「おてつたびに登録している旅行者はコロナ前は7、8割が大学生でしたが、今は大学生以外が半分以上です。地域とつながりをもちたい、移住先を探す、または60歳以上の方のセカンドライフなど、申し込む理由が変わってきました。世の中の流れが変わり、地域にはチャンスだと思います」と言います。

おてつたびを通じてたけもと農場で働く大学生ら

 そんな中、たけもと農場はおてつたび利用者の人気を集め、求人に対する応募者の割合は数倍にのぼっているといいます。ウェビナーで明かされたその要因には、少子高齢化や過疎化に悩む地域ビジネス再生のヒントや、自社のファンを増やすための方法が詰まっていました。

 永岡さん、竹本さんは視聴者からの質問にも答えています。約1時間にわたるトークの動画は、ツギノジダイ会員(無料)に登録いただければ、全編ご覧になれます。

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