目次

  1. 海外市場へ 「カーボンゼロ」の日本酒
  2. サステナブルだけじゃない ベテランの熟練の技をデータ化
  3. サステナブル経営に設備更新重なり省エネ達成
  4. 海外のワイン展示会で気づいた老舗酒蔵のサステナブルマインド

 「会社のこれからの成長のために、海外マーケットは無視できない。海外で闘うための武器として“カーボンゼロ”は武器になります」(安福武之助社長)

世界初を掲げるカーボンゼロの日本酒「福寿 純米酒エコゼロ」を発表した安福武之助社長(右端)ら

 10月20日に発売された新商品、世界初を掲げるカーボンゼロの日本酒「福寿 純米酒エコゼロ」の開発背景を安福社長はこう説明します。使用する電力について100%再生可能エネルギーを使用するなど、酒づくりの工程で排出される二酸化炭素(CO2)を実質的にゼロにしました。

 そのほかにも環境負荷を抑える次のような取り組みもしています。

  • 精米歩合を70%から80%に変更
  • 醸造日数を短縮し、エネルギー使用量を軽減
  • ラベルを廃した「エコロジー」ボトルの使用

 日本酒全体の国内出荷量は1970年代のピークの3分の1にまで減少しています。さらに、コロナ禍によって一筋の光明だったインバウンド消費がなくなっている今、神戸酒心館は「海外ではサステナブルな商品かどうかが商品選びに影響を与える」として、長期的な戦略ともいえるサステナブルな酒造りを始めました。

 「気候の変化によって、酒造好適米である山田錦の収穫が減ったり、六甲山からの宮水の供給が減少したりと深刻な水不足におちいったら、事業継続自体が難しくなるリスクもあります。この点からも、サステナブルな酒造りに舵を切る必要があると考えました」(安福社長)

福寿の蔵元、神戸酒心館。日本酒「福寿」を造る“福寿蔵”、蔵の料亭「さかばやし」“水明蔵”、蔵元ショップである“東明蔵”、多目的ホールである“豊明蔵(酒心館ホール)の4つの蔵がある

 50人規模の酒蔵がサステナブルな酒造りで本当に売り上げを伸ばせるのでしょうか。

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