目次

  1. 創業は280年前 以来畳職を家業に
  2. 畳は残すべきだ。でも誰がやるのか
  3. 品ぞろえや仕入れ時期を見直し収支改善
  4. 新しいことをやるなら他の事例を参考に
  5. 端材と空き時間をお金に換えた小物事業
  6. NYに期間限定店舗、予想外の展開に
  7. すし食べ歩きアカウントから訪問先開拓
  8. 経営改革を支える抜群の行動力
  9. 畳に触れる空間を提供する「畳ビレッジ」
  10. 売上高は1.5倍、最終損益は黒字転換

 久保木畳店は1975年、史朗さんの祖父・栄一さんが設立しました。現在は史朗さんの父・徹朗(てつお)さん(66)が2代目社長を務めています。

 久保木畳店のホームページによると、店の起源は江戸時代の元文年間(1736~1741年)にさかのぼります。現在の須賀川市で初代当主が創業して以来、畳職を家業としてきました。史朗さんは15代目にあたります。

 畳の製造・販売のほか、障子やふすま、カーテンなどの内装工事も手がけます。2022年5月期の売上高は約1.5億円。史朗さんら役員も含め11人が働いています。

須賀川市中心部の創業の地にある東町店。建物を改装し、小物を販売している(久保木畳店提供)

 史朗さんは須賀川市で生まれ育ち、慶応大学を経て2013年に大手ゼネコンに入社。ITエンジニアとして、ホテルや学校のICT(情報通信技術)環境の設計・施工などを担当しました。

 史朗さんは男女4人きょうだいで、上から2番目の長男です。ただ、家業を継ぐことは一切考えてこなかったといいます。

 転機は2019年のゴールデンウィークでした。実家に帰省中、テーブルの上に置かれた父からの手紙を見つけたのです。折り込みチラシの裏に、4枚にわたって書かれていました。

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