目次

  1. 夫婦でピンチの家業に
  2. 課題が山積だった経営
  3. 父娘の衝突を夫が仲裁
  4. 被災を機に「後悔の無い酒を」
  5. 「一杯でうまい酒」を目指して
  6. 新規営業をしない戦略
  7. 異業種コラボの商品を続々
  8. 蔵の見学が評判に
  9. 水害も意識してBCPを策定
  10. 魅力ある地域づくりへの貢献

 1918年創業の寒梅酒造は代表銘柄「宮寒梅」で知られ、自社田の酒米を中心に純米酒と純米大吟醸にこだわる蔵です。生産量は年8万本(一升瓶換算)で、国内約50の取引先に卸しています。

寒梅酒造の代表銘柄「宮寒梅」(同社提供)

 真奈さんは4姉妹の長女で、幼いころは米の香りがするのも従業員と衣食住を共にするのも当たり前でした。親戚から「いずれ継ぐんだから」と言われましたが「当時の私は嫌で、あとは妹たちに任せたというつもりで家を出ました」。

 真奈さんは仙台市の大学に進学。サークルが一緒だった健弥さんと4年生の時から付き合い始めます。しかし、このころ母から家業の経営が苦しいと打ち明けられました。「別の会社に就職が決まっていましたが、家業も気になり一回戻ってみようと思ったんです」

 健弥さんも一緒に働くことを決めました。「正直、当時はあまり深く考えておらず、まあやってみようというくらいの気持ちでした」

 卒業直前の2006年秋、会社近くに2人で家を借り、アルバイトとして家業の業務を学びます。翌07年4月に2人そろって入社した直後に結婚式を挙げました。

創業100年を超えた寒梅酒造(同社提供)

 健弥さんは製造現場に入り、真奈さんは経理などを担いました。しかし、いざ入社すると課題が次々に浮かびます。昔の慣習というだけで行っていた作業が多く、経営視点が抜けていたのです。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。