目次

  1. フジイ金型で感じた3つの課題
  2. マッキンゼーの7Sで現状分析してみると……
  3. マッキンゼーの7Sから7つの改革へ
  4. 「6稼4勤」が生んだ多能工
  5. 全社に成功体験を広げていく
    1. 危機意識を高める
    2. 変革推進チームを作る
    3. 適切なビジョンをつくる
    4. 変革のビジョンを周知徹底する
    5. 従業員の自発的な行動を促す
    6. 短期的な成果を生む
    7. さらに変革を進める
    8. 変革を根付かせる
  6. 大きく負けなければいい まず実行

 フジイ金型は自動車向けのダイキャスト金型などを製造し、業界大手の規模を誇ります。藤井さんは横浜国立大学大学院工学研究科を卒業後、旭化成に入社。11年ほど勤務したのち、35歳に家業へ入り取締役になりました。2012年には、代表取締役に就任。

 2012年に社長就任時は、リーマンショックの影響が残り業績が低迷していました。社長に就任して4期目、2016年にリーマン前の状況まで業績を戻すことができ、2019年まで順調に成長し、社長就任時から売上高は2倍近く、経常利益だと3倍以上となっていました。

 しかし、藤井さんは、自身が受け継いだフジイ金型について、2016年ごろから3つの課題を感じていました。

 「1つ目はトップダウンに染まった企業文化。2つ目は縄張り意識、指示待ち意識などの官僚主義。最後は外部環境の変化についていけていないのではないか、という課題もありました」

 「社員を幸せにするためにはどのような会社にすべきか思い描きました。個人事業主のように働いてほしい。要は、皆さんそれぞれ、責任感を伴って主体的に働くというスタイルが理想だという結論に至りました」

 そこで、藤井さんは経営改革に有効とされる、マッキンゼーの7Sフレームワークを使って分析します。3つのハードの経営資源と、4つのソフトの経営資源を洗い出したといいます。ちなみにこのフレームワークでは、3つのハードの経営資源は変革しやすく、4つのソフトの経営資源は変革に時間がかかるとされています。

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