職場で信頼関係を築くには 信頼される人の特徴や築く方法5選
仕事を進めるうえで欠かせないのが、周りの人との信頼関係です。信頼関係があれば、人を動かすことや頼みごと、さらに、取引もしやすくなります。この記事では、コーチングをベースとしたコミュニケーションの専門家が、上手な信頼関係の築き方についてご紹介します。
仕事を進めるうえで欠かせないのが、周りの人との信頼関係です。信頼関係があれば、人を動かすことや頼みごと、さらに、取引もしやすくなります。この記事では、コーチングをベースとしたコミュニケーションの専門家が、上手な信頼関係の築き方についてご紹介します。
目次
職場で信頼関係を築いている状態、これは誰しもが望んでいることでしょう。そもそも「職場で信頼関係を築いている」というのは具体的にどのような状態でしょうか?
職場における信頼関係とは、「相手のことを信じてワガママが言える」状態です。
一般的に、次のようなことができる状態を信頼関係が築けていると言えます。
しかし、これらは一方的に信頼を寄せるだけではおこなえません。大事なのは「お互いのことを信じ合える」ということです。
さらにわかりやすく言うと、「お互いにワガママが言い合える」状態になります。ワガママといっても無理難題を相手にぶつけるのではありません。
「この人なら、きっとやってくれるに違いない」と、相手のことを信じているからこそ言えることです。これが、信頼関係を築いたうえで言えるワガママになります。
職場で信頼関係が大切な理由は、個人だけではなく組織全体で成功することが求められているからです。
信頼関係を築くことができれば「またこの人と仕事がしたい!」「この人のためなら動いてみたい」という人が周りに増えてきます。
つまり、あなたを中心とした強固なチームができあがります。それが、組織全体の成功につながるのです。
野球の世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック」で日本を世界一に導いた栗山英樹監督が「相手を信頼するから関係性ができる。信頼関係が築けるから、心理的安全性の高い組織となります」(引用:腹心コーチが見た栗山監督 「これからの組織に求められる上司像」|朝日新聞DIGITAL)とインタビューで答えていることからもわかります。
では、信頼関係を築くのが上手な人にはどのような特徴があるのでしょうか。代表的な特徴を3つご紹介しましょう。
どんなに小さな約束事もきちんと守る人は、周りから信頼の目で見られることは間違いありません。
「このくらい、大丈夫だろう」というのは本人の思い込みであり、相手にとっては重要なことかもしれません。特に「時間を守る人」というのは、信頼関係においては第一にパスしなければいけない関門とも言えます。
アメリカ初代大統領、ジョージ・ワシントンも「約束を守ることを、常に頭に置いておきなさい」と、名言を残しています。
人の話を否定せずに最後まできちんと聴く。人の話を聴ける人は、間違いなく周りから信頼されています。
人は話を聴いてもらえると、相手に対して安心感を感じます。その結果、「この人なら任せても大丈夫だ」と感じてくれるものです。
経営の神と言われる松下電器(現パナソニック)の創設者、松下幸之助も大変な聴き上手だったそうです。自分が知っていても、初めて聴いたかのように真摯に耳を傾けて聴いてくれていた、という逸話が多く残っています。
信頼できる人は発言と行動が一致しており、「有言実行」の人であることは間違いありません。
自分が言ったことに対して責任を持って行動し、成果を出す。そのような人は、周りの人に「この人に任せて大丈夫」と思われるでしょう。
逆に、口で言うだけでなにも行動しない人に対しては、不信感しか芽生えません。大リーグで活躍中の大谷翔平選手も、高校生時代に掲げたことを地道に行動に移したからこそ、今では信頼できる二刀流になったのです。
社員同士が信頼関係を築くと、チームにどのような良い影響を与えてくれるのでしょうか。信頼関係を築くメリットを3つご紹介しましょう。
信頼関係が築かれていると、困ったときに助けを求めれば、周りの人は喜んで手助けしてくれるでしょう。
仕事はひとりでやり抜けるものではなく、チームで助け合いながら進めていくものです。特に、ピンチのときや、問題やトラブルが発生したときには、どうしてもほかの人の助けが必要です。
チームの信頼関係が築かれていれば、助けを求めたときに、メンバーが集まってくれるでしょう。そもそも、困った状況を察知して、周りの人から「なにか手助けできることはある?」と聞いてくれるようになります。信頼関係が築かれているチームは、スムーズにピンチを乗り越えられるでしょう。
信頼関係を築けている職場は、お互いの話をきちんと聴き合えているため、ストレスが溜まりづらくなります。
ストレスの原因の多くは、人間関係の悪化によるものです。人間関係の問題がない職場では、一人ひとりが生き生きと働けます。
人間関係のなかでも、特に世代間ギャップによるストレスが増加しています。このようなストレスを防ぐためにも、悩みやモヤモヤしたことなどを年齢関係なく、何でも話せる信頼関係を築くことが大切になります。
信頼関係を築くうえでは、共通の目標が必要になります。みんなが同じ方向に向かって動くと、一体感を感じてより良い成果につながります。
これはサッカーやラグビーなどの団体競技を想像してください。点を取るために、同じチームメンバーとパスをつないでゴールに向かう。これこそ信頼関係が成り立っていないとできないことです。
仕事においても同じことが言えます。信頼関係が成り立っているからこそ、情報の伝達や仕事を任せるといった「パス」をつなぎながら、目標達成のために一丸となって行動できるのです。
社員同士が信頼関係を築くための具体的な方法を「個人」と「チーム」にわけて、2つの側面からお伝えしましょう。
お互いの価値観や考え方を認め合えるようになりましょう。
価値観や考え方は、人によって異なります。そして、自分の価値観や考え方が「正しい」と思ってしまうものです。
自分の価値観や考え方を認められると、今度は相手の価値観や考え方を受け止めたいという気持ちが高まります。そして、認めてくれた相手に対して、信頼が高まっていきます。
お願いする相手には自己開示し、まずは自分のことを知ってもらいましょう。
自分のことをなにも知らない相手に「信頼してくれ」とお願いをしても、それは難しいといえます。
特に趣味や好きなもの、夢中になっていることなど、内面的なことを知ってもらうことで「こういった面もあるんだ」と興味を持ってくれます。それが相手の警戒心を取り払ううえで重要になります。
ただし、最初からすべてを自己開示するのではなく、押し付けにならず相手が興味を引きそうなことから話してみましょう。
どんな些細なことでも「ありがとう」と言える人に対しては、信頼が高まるものです。やってあたりまえのことにこそ、感謝の言葉を口にしてみましょう。
特に仕事をお願いされた際に感謝の言葉がなければ、「せっかくやってあげたのに」と思ってしまい、信頼関係を築けません。
「ありがとう」をきちんと言える、そんな人にこそ人は信頼を寄せるものです。
チームメンバーが成果を出したときは、チーム全員で褒め合いましょう。褒められることが本人のやる気につながり、チームのためにさらに頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
その気持ちがチームに対しての信頼にもつながり、みんなで取り組もうという気持ちを高めます。
いがみ合っていた関係でも、同じ目的や目標を持つと、それに向かって一丸となって行動を起こし始めます。これが「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」というものです。
行動の方向性が同じになることで、仲間に対しての信頼は自然と高まります。さらに、一緒になって目的や目標を達成したときは、お互いの信頼がより深くなっているでしょう。
信頼関係を築くことができない職場ではどうなるのか、リスクと注意点についてお伝えしましょう。
信頼関係が築けなければ、人間不信に陥りストレスが増加します。
自分以外の人に仕事を任せることもできず、周りの言葉を信じられなくなるかもしれません。
信頼関係が築けていない職場は、いずれ働きがいのない職場になる可能性があるでしょう。
信頼関係が築けていなければ人間関係はギスギスし、報連相などが滞ります。仕事の成果があがらないため、意欲を出して取り組む気持ちも下がります。
給料が高く、福利厚生が良い企業でも、働きがいのない職場では仕事が長続きしづらいため、離職率も高くなるでしょう。
顧客からの重要な依頼や伝達事項が共有されずに、信頼を失うかもしれません。
信頼関係が成り立っていないチームでは、報連相が正しくおこなえなくなります。
もし、顧客からの重要な依頼が担当者に伝達されていなければ、「この会社はどうなっているのか?」と不信感が高まるのは間違いありません。顧客からの信頼を失うことになり、ひいては顧客そのものを失うことにつながります。
働いている企業やチームの士気を上げたい場合は、まずはあなたが信頼関係を築くための行動を起こしましょう。
筆者もコンサルタントとしてさまざまな企業を見てきました。経営者が社員に対する信頼を意識し始めたことで、企業再生の道を歩み始めた事例はいくつもあります。
相手が信頼してくれないからではなく、まずは自分が相手を信頼すること。そのための行動はすぐに取りかかれるものばかりです。今すぐ行動を起こして信頼関係を高めていきましょう。
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