目次

  1. ニッチャーとして生き残る
  2. フランス留学に陸上自衛隊入隊……
  3. 順調な売上に成長要因を見誤り 開発に過剰投資
  4. 売上アップへ 5つの新製品を開発するも
  5. 海外販路開拓を行うも売上は減少
  6. 八方塞がりからBtoC事業への参入を決意
  7. BtoC向け新ブランドコンセプト設計に着手
  8. 自社を見つめ直して生まれた「不器用なガジェット」
  9. 「拡声器だよ?」社内で大反対を受けた新製品
  10. 開発部長の手助けもあり完成 展示会で思わぬ反響

 ノボル電機は1945年に猪奥さんの祖父がラジオの修理を行う「ノボル電機製作所」として創業しました。

 その後、校外放送や移動販売車などでよく見る、遠くまではっきりと音が届くメガホン状の拡声器、ホーンスピーカーの製造をスタート。

 「世の中にないと困る会社」「小さくても存在感のある会社」をめざし、自社にしか作れない拡声器をリーズナブルに提供するニッチャーとして存在感を示しています。

創業以来、自社ブランド製品の企画開発、製造、販売を手がけてきた(ノボル電機提供)

 猪奥さんは、姉と弟、妹の4人きょうだいです。実家と工場が離れていたため、幼い頃から家業について意識する機会はほとんどなく、両親からも後を継ぐことについて何も言われずに育ちました。

 高校生になると、1年間学校を休学してフランスに留学。京都外国語大学フランス語学科を卒業した後は、陸上自衛隊へ入隊しました。家業について理解していましたが、自分の選んだ道を反対せずに受け入れてくれる両親の姿に「後を継ぐのは自分じゃないんだ」と思っていたといいます。

 そんな猪奥さんに転機が訪れます。2009年のゴールデンウィークに帰省したとき、父から「きょうだいで話し合って、誰か会社に入る人を一人決めて」と言われたのです。夏ごろにきょうだいで集まり話し合うと、みんな他にやりたいことがありました。

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