目次

  1. 炭火焙煎の豆を全国の喫茶店へ
  2. コーヒーの香りと自然の近くで育つ
  3. 家業の強みと謎ルール
  4. 仕事中に雑誌を読む社員も
  5. 「減収しても増益」にベテランが猛反発
  6. 「業務パズル」で仕事をシェア
  7. 残業を減らして最高益を達成
  8. 売上実績よりも「ナイストライ」を評価
  9. アオスジアゲハの生存戦略で生き残る

 生豆の仕入れから焙煎、出荷までを一貫しておこなう萩原珈琲。1928年の創業以来こだわっているのが、自社工場での炭火による焙煎です。加熱温度と時間をコントロールしやすいガス焙煎に対して、職人技を要する炭火焙煎。導入している会社は国内でもごく少数ですが、遠赤外線効果で豆の内部から加熱されて均等に火が通るため、コクのあるコーヒー豆ができあがります。

職人技を要する炭火焙煎の様子

 後味がよく、冷めてもおいしさが保たれる萩原珈琲の豆には、1868年の開港でコーヒー文化が花開いた神戸を中心に、長年のファンが数多くいます。主な売り上げは喫茶店への卸販売で、神戸や銀座を始め全国に得意先が広がっています。2023年11月時点の社員数は21人、年商は約4.5億円です。

 萩原さんが子どものころは、灘区の自社ビルに焙煎所があり、ビルの上階が自宅でした。萩原さんは豆を焙煎する香りに囲まれて育ち、近くの摩耶山や原田の森(王子公園)で、虫や植物を観察するのが大好きな少年でした。

 萩原さんは大学で生物資源開発を専攻し、蛾やコオロギといった、人間からは害虫扱いされる虫たちを研究します。大学4年生の夏休みには「家業を継ぎたくない」と、先代の父と取っ組み合いの大ゲンカ。実家の壁に穴が開くほどハードなものでした。

 「親に決められた道を進むのが嫌でした。でも友人(現在の妻)に、『人間社会の営みは、大きな自然界のなかでは、ほんの一部にすぎない』と言われて気が楽になりました。一方で、卒業後すぐに入社するのには抵抗もありました」

 そこで大学を卒業した後、「いつかは家業を継ぐ」ことを前提に、父の紹介でブラジルやグアテマラでの約1年のインターンを経験しました。農園でコーヒーノキの栽培や収穫を手伝ったり、商社でコーヒーのサプライチェーンの仕組みを学んだりするうちに、コーヒーが「自分ごと」になったといいます。

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