目次

  1. 公取委が公表した10事業者一覧
  2. 公取委が事業者名を公表した背景
  3. 協議を経ない取引価格の据置きとは
  4. ダイハツなどがコメントを公表

 公取委が、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認されたとして、独占禁止法第43条の規定にもとづき、公表した10事業者は以下の通りです。()内は所在地。

  1. イオンディライト(大阪市中央区)
  2. SBSフレック(東京都新宿区)
  3. 京セラ(京都市伏見区)
  4. 西濃運輸(岐阜県大垣市)
  5. ソーシン(埼玉県入間市)
  6. ダイハツ工業(大阪府池田市)
  7. 東邦薬品(東京都世田谷区)
  8. 日本梱包運輸倉庫(東京都中央区)
  9. PALTAC(大阪市中央区)
  10. 三菱ふそうトラック・バス(川崎市中原区)

 ただし、公取委によると、当該事業者名の公表は、独占禁止法又は下請法に違反することまたはそのおそれを認定したものではないと説明しています。

 また、社内全体に対して価格転嫁を進めるための方針を示していたものの、受注者との窓口担当者への浸透が不十分だったり、調査対象期間中に一部の受注者との間で価格転嫁を進めていたり、調査対象期間後において受注者との間で価格転嫁を行うための協議の場を設けたりしていた事業者もいたといいます。

 事業者名の公表は、2023年11月8日に公取委が公表した「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表方針について」(PDF方式)がきっかけになっています。

 公表方針によると、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者については、個別調査を実施し、その結果、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された場合には、独占禁止法第43条の規定にもとづき、その事業者名を公表すると説明しています。

 公表方針のうち、協議を経ない取引価格の据置きとは、次のような場合を指します。

  • 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
  • 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと

 公表対象となった企業が公式サイトでコメントを公表しています。

当社はこれまでも、取引先の皆様と取引価格等に関して、密なコミュニケーションを重ねてきております。今回の同委員会による公表を真摯に受け止め、今後、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について、より一層積極的に当社から取引先様に対するコミュニケーションの機会を創出します。そして、それぞれの取引先様におけるお困りごとに真摯に寄り添うことで、相互に信頼し、持続的に発展していくことができる体制を目指してまいります。

公正取引委員会からの社名公表について(ダイハツ工業の公式サイトから)