目次

  1. ビックモーター・ビーエムハナテンへの勧告
    1. 買いたたき
    2. 購入・利用強制
    3. 利益の提供要請
  2. ビックモーター・ビーエムハナテンへの指導
  3. 公取委、ビックモーターへの調査は一部店舗のみ
  4. ビックモーター「勧告に従って真摯に対応」
ビッグモーターらに対する勧告等(勧告対象行為の具体例)
ビッグモーターらに対する勧告等(勧告対象行為の具体例)公取委の公式サイトから https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240315_bigmotorandbmhanaten.html

 公取委によると、ビックモーターとビーエムハナテンへの勧告対象となったのは、中古自動車の表面研磨加工・コーティング加工を委託している事業者への3つの行為です。

  1. 買いたたき
  2. 購入・利用強制
  3. 利益の提供要請

 ビックモーターは、2021年3月、営業本部の一部の者と関西・北陸エリアの販売店の店長が業務上のやりとりを行うメッセージアプリのグループで、当時の営業本部次長から各店長に対し、コーティング加工の施工料金について「各店、施工料金がバラバラなので、形状ごとの最安値の金額に価格交渉して合わせてもらいましょう」と指示していました。

 実際に12月ごろ、当時の店長から、下請事業者に対し、営業本部などの意向を踏まえたコーティング加工の発注単価の引き下げを要請し、従来単価から27.7%引き下げた単価を設定していました。

 ビックモーターは、役員、営業本部、経理部及び各店舗の店長が業務上のやりとりを行うメッセージアプリのグループで、2022年10月、当時の取締役副社長から各店長に対し、「出入りしてる業者の車は全てウチで購入、買取、車検を徹底させてください」と指示していました。

 実際に次のような事実を確認したといいます。

  • 洗車中に車内に水をかけたとして車両を約100万円で買い取らせる(購入費用には、要望していない希望ナンバーの取得やコーティング加工などの追加料金も含んでいた)
  • 自社で車検を受けないと出入禁止とするなどとして車検を受けさせる
  • 出入り業者に自社が損害保険代理店を務める保険会社の損害保険を契約させる

 具体的には、下請事業者に対して、メッセージアプリを使用して「早くも超絶保険ブーム来ました!」、「至急保険加入の確認をしますのでエクセル入力して欲しいです!」などと要求していたといいます。

 ビックモーターは下請事業者に次のような行為を無償で行わせていました。

  • 環境整備点検の前に、月に1回程度、下請事業者に対し、店舗の仕上げ小屋(下請事業者の作業スペース)の床掃除、雑草の除去、展示車両のタイヤへのワックスがけなどを無償で行わせる
  • 新店舗オープンに当たって花輪または生花に係る協賛金を提供させる
  • 車内清掃作業におけるペットの毛の除去を無償で行わせる

 公取委によると、ビックモーターとビーエムハナテンへの指導対象となったのは主に5つの行為です。

  1. 発注書面交付義務違反…下請事業者の給付内容、下請代金の額、支払期日、支払方法等の必要記載事項を記載した書面を交付せず、店舗や電話での口頭発注のほか、メッセージアプリで発注していた
  2. 書類作成義務及び保存義務違反…2年間保存しなければならない下請事業者の給付の内容等の必要記載事項を記載した書類を保存していなかった
  3. 報告命令違反…下請法にもとづく報告命令である「下請事業者との取引に関する調査」について、適切に報告していなかった。
  4. 支払遅延…事務処理遅れ・請求書遅れ・支払期日が金融機関の休業日であること・誤発注を理由として不払いなど
  5. 遅延利息…遅延利息を支払っていなかった

 公取委は、以下のような事情から限定的な調査にとどまったと説明しています。

  • 法定資料(発注書面、取引記録等)がないため下請事業者との取引内容の検証が困難だった
  • 代表取締役社長が業務用メッセージアプリのアカウント削除を指示したため社内指示や取引先との交渉記録が消失した
  • 店長など下請取引の実情を知る従業員の大量退職

 そこで、弁護士など独立した第三者による下請け事業者からの情報を集める窓口を設置し、申し出のあった内容について調査を行うよう求め、公取委への報告や概要の公表するよう求めました。

 公取委からの指導に対し、ビックモーターは公式サイトで次のようなコメントを発表しました。

公正取引委員会の勧告内容に従って真摯に対応するとともに、今後は同様の事象が発生しないようコンプライアンス遵守を最優先に皆様からの信頼回復に向けてグループ全社を挙げて尽力して参ります。

公正取引委員会からの是正勧告処分について(ビックモーター公式サイト)