目次

  1. 「長くて当たり前」だった労働時間を削減
  2. 利益が出ていない仕事を見える化
  3. 売り上げを減らしても利益がアップ
  4. 荷主への交渉のポイントは
    1. 【1】価格改定の根拠をしっかりと持つ
    2. 【2】価格以外で交渉のできる条件をさがす
    3. 【3】交渉価格を段階的に用意する
    4. 【4】取引先の状況も考慮する
  5. ドライバーへの個別ヒアリングも
  6. 足元では確実に変化も
  7. 宅配だけではない2024年問題

 日東物流は、個人のトラックドライバーだった菅原さんの父が1989年に創業した有限会社がルーツです。その後株式会社化し、現在の従業員数は約110人。トラックなど約80台の車両を持ち、関東エリアのコンビニやスーパーに、24時間体制で冷凍・チルド食品を届けています。

 2代目の菅原さんは、新卒で物流大手に就職した後、2008年に家業に入社。2012年に専務に就任しました。この頃から、従業員の健康的な生活を守るため、「長くて当たり前」とされてきたドライバーの労働時間削減に着手します。

日東物流のトラック

 「労働時間を短くしようとしたら、基本的には人を増やすか仕事を減らすしかありません。適性あるドライバーを一定数確保するというのはなかなか難しく、うちでは仕事を減らして適切な労働時間に近づけるのが最適解と考えました。しかしなんでもかんでも仕事を減らしては、当然会社の経営が悪化してしまう。そこで、一つ一つの運行業務ごとに原価と利益を洗い出し、生産性のよい順にずらっと並べました。採算のよい仕事を残す一方、採算がとれていない仕事は交渉をして条件を改善するか撤退するかして、全体の生産性を底上げしていこうとしました」

 運行ごとの生産性を見える化するため、菅原さんは独自の計算式を作りました。全日本トラック協会が公表している原価計算ツールも参考にしたと言います。運行距離や燃料費、タイヤの消耗具合や車両の価格、人件費といった細かな項目を入力することで、運行業務ごとの原価と利益を洗い出し、生産性を一覧で比較できるようにしたのです。

 「それまでは業界の慣習もあり、運賃は原価に基づかず相場観で決まることがほとんどでした。たとえば、『4トン車を10時間運行するなら運賃は2万5000円』となんとなく決まっているけれど、その運賃が利益の出せる適切な額かはわからない、といった具合です。他の業界では当たり前とされている原価計算を、今からでもきっちりやっていく必要があると考えました」

日東物流2代目社長の菅原拓也さん(同社提供)

 実際に数字を洗い出してみると、割がいいと思っていたものの実は原価割れしていたり、採算が悪くても「昔からのつきあいだから」といったあいまいな理由で続けていたりする仕事が見つかりました。菅原さんは、採算の悪い仕事から順に荷主企業の元へ足を運び、運賃の値上げなどを求めて交渉にあたっていきました。

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